・熱化学
【目次】
(1) 温度と熱量
物質の温かさや冷たさは、「温度(temperature)」という尺度で表されます。温度が異なる2つの物質が接触するとき、高温の物質から低温の物質へ移動するエネルギーを「熱(heat)」といい、その量を「熱量(heat capacity)」といいます。そして、高温の物質が失った熱量と低温の物質が得た熱量は、常に等しくなります。
物質1 gの温度を1 K上げるのに必要な熱量を「比熱(specific heat)」といい、単位は「J/(g・K)」で表します。比熱の値は、物質によって異なり、水の比熱は4.18 J/(g・K)です。例えば、比熱c〔J/(g・K)〕で、質量m〔g〕の物質の温度がΔT〔K〕上昇したとき、その物質が吸収した熱量Q〔J〕は、次式で表されます。
同じ質量m〔g〕の2つの物質が、それぞれ同じ熱量Q〔J〕を吸収または放出したとき、比熱c〔J/(g・K)〕が大きい物質ほど、温度変化ΔT〔K〕は小さくなります。すなわち、比熱が大きい物質ほど、温まりにくく、冷めにくくなります。次の表.1に、様々な物質の比熱を示します。表.1からは、水H2Oの比熱が、非常に大きいことが分かります。ヒトの身体は60%以上が水H2Oでできていますが、水H2Oの比熱が大きいために、外部の気温が変化しても、体温をある程度一定に保つことができるのです。
表.1 様々な物質の比熱(25℃)
物質 |
比熱〔J/(g・K)〕 |
モル比熱〔J/(mol・K)〕 |
水 |
4.18 |
75 |
氷 |
1.94 |
35 |
アルミニウム |
0.90 |
24 |
鉄 |
0.45 |
25 |
銅 |
0.38 |
24 |
銀 |
0.24 |
25 |
(i) 系と外界
化学反応が起こり、観察の対象となる部分を「系(system)」といい、それ以外の部分を「外界(surroundings)」といいます。系と外界との間でのやり取りが可能なものは物質(粒子)またはエネルギーのみで、化学反応では系と外界との間で熱の出入りを伴うことが多いです。系には様々な名称があり、「孤立系」「閉鎖系」「開放系」などがあります。一般的な化学反応は「開放系」で起こることが多く、「開放系」では物質とエネルギーの両方のやり取りが可能です。次の表.2に様々な系の種類を示します。
表.2 様々な系の種類
名称 |
孤立系 |
閉鎖系 |
開放系 |
物質のやり取り |
× |
× |
○ |
エネルギーのやり取り |
× |
○ |
○ |
図 |
|
|
|
化学反応を利用して、熱を得るものの一つにカイロがあります。カイロの中には鉄粉Feが入っており、これが空気中の酸素O2と反応して、オキシ水酸化鉄(III) FeO(OH)などが生成します。このとき、鉄Fe 1mol当たり419 kJの熱量が系から放出され、外界にいる私たちは熱を受け取って温まることができます。このように、系の熱を外界に放出しながら進む反応を「発熱反応(exothermic reaction)」といいます。
4Fe + 2H2O + 3O2 → 4FeO(OH)
また、冷却材の中には、硝酸カリウムKNO3と水が入っているものがあります。硝酸カリウムKNO3が水に溶ける際に硝酸カリウムKNO3 1 mol当たり35 kJの熱量を系に吸収するため、外界にいる私たちは冷却効果を得ることができます。このように、外界の熱を系に吸収しながら進む反応を「吸熱反応(endothermic reaction)」といいます。
(ii) 熱化学方程式
物質は、結合や状態に基づいた、それぞれ固有のエネルギーを持っています。そのため、化学変化によって物質が変化すると、物質の保有するエネルギーも変化し、外界との間で、エネルギーの出入りが起こります。このように反応に伴って出入りするエネルギーを、「反応熱(heat of reaction)」といいます。また、次のように、化学反応式の右辺と左辺を等号で結び、右辺に反応熱を書き加えたものを、「熱化学方程式(thermochemical equation)」といいます。
C2H4(気) + 3O2(気) = 2CO2(気) + 2H2O(液) + 1,412 kJ
熱化学方程式における化学式は、物質の種類を表すとともに、各物質1 molの保有するポテンシャルエネルギー値を意味します。また、化学式の係数は、物質のモル数を表しています。さらに、固体・液体・気体などの物質の状態によって、保有するポテンシャルエネルギーの値が異なるために、原則として化学式のあとに物質の状態を書き添えます。物質の状態は、「気体(gas)」は(気)または(g)、「液体(liquid)」は(液)または(l)、「固体(solid)」は(固)または(s)のように書きます。ただし、その状態が明らかな場合には、状態の表示を省略することもできます。また、同素体が存在する炭素Cなどの場合には、(黒鉛)や(ダイヤモンド)などの状態を書き添えるようにします。
熱化学方程式は、反応物と生成物のエネルギー関係を示した方程式です。反応熱の符号は、発熱反応ではプラス、吸熱反応ではマイナスになります。一般的に、物質のポテンシャルエネルギーが大きいほど、反応性が高く不安定な状態になるので、自身のポテンシャルエネルギーを熱エネルギーとして放出して、生成物のポテンシャルエネルギーが低くなる発熱反応の方が、生成物のポテンシャルエネルギーが高くなる吸熱反応よりも自然に起こりやすいです。
(2) エンタルピーとエントロピー
(i) 内部エネルギー
物質の構成粒子は、熱運動による運動エネルギーを持っています。また、これらの粒子は、互いに力を及ぼし合い、粒子間の力による位置エネルギーを持っています。これらのエネルギーの総和を、物質の「内部エネルギー(internal energy)」といいます。内部エネルギーはエネルギーの次元を持ち、記号Uで表されます。内部エネルギーUは、その圧力や体積に関係なく、物質量と温度だけで決まります。物質の温度Tが高いほど、粒子の熱運動は激しくなり、内部エネルギーUは大きくなります。
物質の内部エネルギーUは、外界から加えられる熱Qや外界からされる仕事Wによって変化します。このとき、系に加えられた熱量Qと外界からされた仕事Wの和は、系の内部エネルギー変化ΔUと等しくなります。これを「熱力学第一法則(first law of thermodynamics)」といい、この法則は「エネルギーの保存」を表す法則の1つです。なお、熱と仕事の向きについて、正の向きをどちらとするかは文献によって様々です。ここでは、熱と仕事の向きを、「外界から系に向かう方向」を正としています。
図.1 内部エネルギーと熱力学第一法則
なお、系の体積を一定にする条件(等積過程)では、外界からされる仕事Wは0になります。このような等積過程では、外界から熱を加えると、そのすべてが内部エネルギーの上昇に使われることになります。つまり、体積一定の条件ならば、内部エネルギー変化ΔUは、系に加えられた熱Qそのものになります。
ただし、化学反応を考える際は、どちらかというと、等積過程よりも等圧過程(圧力を一定にする条件)の方が多いです。ビーカーの中で反応が起こるとき、空気中で反応が起こるときなどは、いずれも開放系での反応なので、圧力は常に大気圧と等しいです。圧力一定の条件で熱を表したいときに用いるのが、次項の「エンタルピー」なのです。
(ii) エンタルピー
「エンタルピー(enthalpy)」とは、物質の発熱や吸熱の挙動に関わる状態量です。ギリシア語の「温まる(enthalpein)」に由来しており、「熱含量(heat content)」ともいいます。系に外界から熱を加えると、系の内部エネルギーは増大しますが、加えられた熱の一部は、気体の膨張の仕事に使われてしまいます。この膨張に使われた仕事のエネルギーを内部エネルギーに加えたものが、エンタルピーです。エンタルピーHはエネルギーの次元を持ち、内部エネルギーをU、圧力をP、体積をVとすると、エンタルピーHは次のように定義されます。
化学反応は、大気圧下などのように圧力を一定にする条件(等圧過程)で考えることが多いです。そこで、圧力Pを定数と見なして、反応前後のエンタルピー変化(反応エンタルピー)ΔHを考えると、ΔH=ΔU+PΔV のようになります。例えば、系にQ=500 Jの熱を加えたとき、外部へWout=100 Jの仕事をした場合のエンタルピー変化は、ΔH =400+100=500 Jとなります。
図.2 エンタルピー変化ΔHの求め方
なお、系に加えられた熱をQ、系に加えられた仕事をWinとすると、内部エネルギー変化ΔUはΔU=Q+Winのように表されます。また、等圧過程ではPΔVは「外界にした仕事」のことなので、PΔV=-Winの関係が成立します(加えられた仕事Winの向きと逆)。これより、上記のエンタルピー変化ΔHの式(ΔH=ΔU+PΔV)にΔU=Q+WinとPΔV=-Winを代入すると、等圧条件下では、系に出入りする熱Qは、エンタルピー変化ΔHに等しくなることが分かります。
つまり、圧力一定の条件ならば、エンタルピー変化(反応エンタルピー)ΔHは、系に加えられた熱Qそのものなのです。等圧条件下にある系が発熱して外界に熱を出すとエンタルピーは下がり、吸熱して外界より熱を受け取るとエンタルピーは上がります。一定圧力下では、化学エネルギーの変化はエンタルピーの変化ΔHに等しくなるのです。例として、塩化水素HClと水酸化ナトリウムNaOHの中和反応を考えてみましょう。
HCl + NaOH → NaCl + H2O
この中和反応は外界に熱を放出する発熱反応であり、反応の過程で外界にエネルギーを57
kJ/molだけ放出します。つまり、圧力一定の条件ならば、発熱して外界に熱を放出した分(57 kJ/mol)だけ、生成系のエンタルピーは、反応系のエンタルピー
より小さくなるはずです。したがって、生成系のエンタルピー
は、反応系のエンタルピー
よりも小さくなります。エンタルピー変化(反応エンタルピー)ΔHとは、反応系と生成系のエンタルピー差なので、この中和反応のΔHを式で表すと、次のようになります。
ΔH = (生成系のエンタルピー) - (反応系のエンタルピー
)
∴ ΔH = (NaClとH2OのエンタルピーH ) - (HClとNaOHのエンタルピーH )
これより、この中和反応のエンタルピー変化ΔHを求めると、ΔH=-57 kJになります。つまり、エンタルピー変化ΔHは、ΔH<0なら発熱反応であり、ΔH>0なら吸熱反応なのです。エンタルピー変化ΔHは、反応が起こった際に系と外界を出入りする反応熱(発熱なら正、吸熱なら負の符号)と同じ数値になりますが、反応熱とは符号が逆になるので注意が必要です。圧力一定の条件(開放された化学反応系)ならば、反応熱の正負を逆にした数値が、その反応のエンタルピー変化ΔHになります。
表.3 反応熱とエンタルピー変化ΔHの関係
|
発熱反応 |
吸熱反応 |
外界の温度 |
熱を放出して上昇する |
熱を吸収して下降する |
反応熱 |
符号は正で表す |
符号は負で表す |
系のエンタルピー |
熱を放出して下降する |
熱を吸収して上昇する |
(iii) エントロピー
「エントロピー(entropy)」とは、系の乱雑さの指標となる状態関数のことです。エントロピーSは、エネルギーを温度で割った次元を持ち、SI単位系ではJ/Kの次元です。温度Tの系に微小の熱ΔQを可逆的に加えたときのエントロピー変化ΔSは、次のように表されます。この式が意味することは、エントロピー変化ΔSは、加えられた熱量Qが大きく、かつその系の温度Tが低いほど、エントロピーの増減に与える影響が大きくなるということです。
孤立系において、自発的に起こる自然変化は、必ずエントロピーSの増大する方向に進行していきます。このことは、熱力学第二法則でも、「可逆反応ではエントロピーSは一定であり、不加逆反応(自発的変化)ではエントロピーSは増加する」と表現されています。孤立系のエントロピー変化をΔS全、系のエントロピー変化をΔS系、外界のエントロピー変化をΔS外とすると、自発的に起こる反応では、次の関係が成り立ちます。なお、孤立系のエントロピー変化がΔS全=0のときは、変化は可逆的で、どちらの方向にも進むことができます。
また、系の乱雑さは、一般的に「配置の多様性」と「行動のエネルギー」の積で表すことができます。乱雑さとは、言葉のイメージ通り、物質を構成している微粒子が、バラバラに散らばっている状態のことです。微粒子をきちんと整理整頓しておくより、バラバラに散らばった状態にしておく方が、エネルギー的に安定なのです。この乱雑さを表す式において、エントロピーSは、配置の多様性を表しています。
乱雑さ=(配置の多様性)×(行動のエネルギー)
乱雑さは、エントロピーSの大きさに比例するので、エントロピーSが大きい(微粒子の配置の仕方が多様になる)ほど、乱雑さは大きくなります。また、微粒子の行動のエネルギーが大きいほど、微粒子の配置を次々と変えていくことができるので、乱雑さは大きくなります。つまり、粒子の熱運動が激しくなる高温の方が、乱雑さは大きくなります。次に乱雑さが増加する反応(ΔS>0)の例を示します。
@ 粒子数が増加する反応 2N2O5 → 4NO2 + O2 A より空間の多い状態への変化 H2O(液体) → H2O(気体) B 運動の自由度の多い状態への変化 H2O(固体) → H2O(液体) C 組み合わせの多様な分子への変化 (H-H, I-I) → (H-I, H-I) D より混合した状態への変化 水 + エタノール → 混合物 |
ある化学反応が自然に進行するかどうかは、系のエンタルピー変化ΔHとエントロピー変化ΔSの大きさで決まります。基本的には、系の化学エネルギーが低下する発熱反応(ΔH<0)の方が、吸熱反応(ΔH>0)よりも起こりやすいと考えて良いでしょう。しかし、系の化学エネルギーが上昇する吸熱反応(ΔH>0)でも、乱雑さが増大する反応(ΔS>0)の場合には、自然に反応が進行することがあります。特にエントロピー変化ΔSは、温度が高くなるほど影響を強く受けるので、高温では乱雑さが増大する反応(ΔS>0)が起こりやすくなります。ある化学反応が起こるかどうかは、次項の「ギブスの自由エネルギー」を考えることで判断することができます。
(iv) ギブスの自由エネルギー
等温等圧過程で、ある孤立系(系の周りに外界がある)の化学変化を考えてみます。熱力学第二法則によると、孤立系で起こる自発的変化は、必ずエントロピーSが増大する方向に進みます。そのため、孤立系のエントロピー変化をΔS全、系のエントロピー変化をΔS、外界のエントロピー変化をΔS外とすると、自発的に起こる反応では、次の関係が成り立ちます。
熱力学第二法則で理解が難しいのは、外界のエントロピー変化ΔS外です。外界のエントロピー変化ΔS外は、そのときの反応温度や移動した熱量によって変化するからです。そこで、自発的な変化の向きの判別を行う際に、外界のことを考えずに済み、系についてだけ考えればよいように導入されたのが、「ギブスの自由エネルギー(Gibbs' free energy)」です。ギブスの自由エネルギーは、次のように熱力学第二法則の式から導出することができます。
温度と圧力を一定に保った系で、自発的に反応が起こり、外界に熱が放出されたとします。ことのき、外界のエントロピー変化ΔS外は、外界から系に移動する熱をQ、系の温度をTとすると、ΔS外=-Q /Tのように表されます。なお、この式で符号が負になる理由は、外界から系に熱が移動する向きを正としたためです。また、熱力学第一法則より、ΔU=Q+Wの関係が成り立つので、Q=ΔU-WをΔS外=-Q /Tに代入すると、次のようになります。
また、等圧条件下では、PΔVは「外界にした仕事」のことなので、系に加えられた仕事Wは、W=-PΔVと表されます(外界にした仕事の向きと逆になります)。よって、孤立系のエントロピー変化ΔS全は、次のように変形できます。
上式のU+PV-TSの部分を「ギブスの自由エネルギー」といい、記号Gで表します。これより、等温等圧過程では、自発的変化はΔG<0となることが分かります。また、エンタルピーHは、H=U+PVで表されるので、ギブスの自由エネルギー変化は、ΔG=ΔH-TΔSのように表せます。この式において、エントロピー変化ΔSと温度Tが積になっているのは、乱雑さが温度Tに比例するからです。温度が上がると、微粒子の行動のエネルギーが大きくなるので、乱雑さも大きくなるのです。
化学反応が進行するかどうかは、自由エネルギー変化ΔGの値にかかっています。ΔG<0ならば化学反応は進行し、ΔG>0ならば化学反応は進行しません。たったこれだけなのですが、ΔGにおける独立変数は、ΔH・ΔS・Tの3つがあるため、これらの値すべてが分かっていなければ、ΔGの正確な値を決めることができません。しかしながら、ある化学反応が発熱的に起こり(ΔH<0)、エントロピー変化がΔS>0であることが分かっているなら、自由エネルギー変化は必然的にΔG<0となり、少なくともこの反応は温度Tによらず、自然に進行することが分かります(ΔHとΔSの符号は反応の種類によりますが、Tの符号は必ず正になるからです)。このようにΔH・ΔS・Tの値が正確に分かっていなくても、反応が進行するかどうかを判断する術はあるのです。次の表.4に、化学反応が自然に進行するかどうかの、定性的な判断を与える表を示します。
表.4 化学反応が自然に進行するかどうか
エンタルピー |
エントロピー |
自由エネルギー |
反応 |
発熱反応 (ΔH<0) |
ΔS>0 |
ΔG<0 |
自然に進行する |
ΔS<0 |
低温でΔG<0 |
自然に進行する |
|
高温でΔG>0 |
自然に進行しない |
||
吸熱反応 (ΔH>0) |
ΔS>0 |
低温でΔG>0 |
自然に進行しない |
高温でΔG<0 |
自然に進行する |
||
ΔS<0 |
ΔG>0 |
自然に進行しない |
化学反応が自然に進行するかどうかは、その反応が発熱反応かどうか、あるいは乱雑さが増加する反応かどうかの、2つの要因によって決定されます。ある反応が自然に進行するときは、進行することによって系のエネルギーが減少するか、あるいは乱雑さが増加するか、少なくともどちらか一方が成り立っていなければなりません。そのどちらか一方が保証されなければ、反応が自然に進行することはありえないのです。
(v) 反応エンタルピー
化学反応に伴う熱の出入りは、化学反応式にエンタルピー変化ΔHを付した式で示すことができます。着目する物質の係数が1になるようにして反応式を作るので、他の物質の係数が分数になることもあります。例えば、1 molの水素H2が完全燃焼して、液体の水H2Oが生成し、286 kJの熱量が放出される反応は、次のように表されます。
物質の状態により、物質が持つエンタルピーが異なるため、原則として上式のように物質の状態を明記します。物質の状態は、「気体(gas)」は(気)または(g)、「液体(liquid)」は(液)または(l)、「固体(solid)」は(固)または(s)のように書きます。ただし、その状態が明らかな場合には、状態の表示を省略することもできます。また、同素体が存在する炭素Cなどの場合には、(黒鉛)や(ダイヤモンド)などの状態を書き添えるようにします。水に溶解した状態も、例えばNaClaqのように書きます。
反応エンタルピーは、反応の種類によって固有の名称で呼ばれるものがあり、着目する物質1 mol当たりの熱量(単位:kJ/mol)で表されます。着目する物質の化学変化の名称によって、「生成エンタルピー(enthalpy of formation)」や「燃焼エンタルピー(enthalpy of combustion)」、「溶解エンタルピー(enthalpy of dissolution)」、「中和エンタルピー(enthalpy of neutralization)」、「水和エンタルピー(enthalpy of hydration)」などがあります。また、状態変化の際に出入りする熱や結合エネルギー、イオン化エネルギー、電子親和力などのエネルギーも、同様に反応エンタルピーで表すことができます。次の表.5に化学反応に伴うエンタルピー変化をまとめます。
表.5 化学反応に伴うエンタルピー変化
生成エンタルピー |
化合物1 molがその成分元素の単体から生成するときの反応エンタルピー ※ 生成する化合物の係数を1にする ΔH<0 (発熱)の場合とΔH>0 (吸熱)の場合がある |
ex)NH3の生成エンタルピー ΔH =−46 kJ/mol |
|
燃焼エンタルピー |
物質1 molが完全燃焼するときの反応エンタルピー ※ 燃焼する可燃物の係数を1にする すべてΔH<0 (発熱)である |
ex)COの燃焼エンタルピー ΔH =−283 kJ/mol |
|
溶解エンタルピー |
物質1 molが多量の水に溶解するときの反応エンタルピー ※ 溶質の係数を1にする ΔH<0 (発熱)の場合とΔH>0 (吸熱)の場合がある(固体ではΔH>0 (吸熱)が多い) |
ex)NaCl(固)の溶解エンタルピー ΔH = 4.2 kJ/mol NaCl(固) + aq → NaClaq ΔH = 4.2 kJ |
|
中和エンタルピー |
中和反応で1 molの水が生じるときの反応エンタルピー ※ H2O(液)の係数を1にする すべてΔH<0 (発熱)である |
ex)薄い強酸と薄い強塩基の中和エンタルピー ΔH =−56.5 kJ/mol H+aq + OH−aq → H2O(液) ΔH =−56.5 kJ |
|
水和エンタルピー |
気体状のイオン1 molが多量の水で水和されるときの反応エンタルピー ※ 気体状のイオンの係数を1にする すべてΔH<0 (発熱)である |
ex)Na+(気)の水和エンタルピー ΔH =−403 kJ/mol Na+(気) + aq → Na+aq ΔH =−403 kJ |
なお、燃焼エンタルピーを考える場合、完全燃焼というのは、炭素Cは二酸化炭素CO2、水素Hは水H2O、窒素Nは窒素N2、硫黄Sは二酸化硫黄SO2に変化する場合を指します。水素Hが完全燃焼して水H2Oが生成する場合では、普通は液体となるときの値で示します。
また、生成エンタルピーを考えるとき、成分元素の単体に同素体がある場合には、安定な方(ポテンシャルエネルギーの低い方)を選びます。具体的には、炭素Cなら黒鉛、硫黄Sなら斜方硫黄、リンPなら赤リンの方が安定です。
表.6 状態変化に伴うエンタルピー変化
蒸発エンタルピー |
物質1 molが蒸発するときの転移エンタルピー ※ すべてΔH>0 (吸熱)である |
ex)H2O(液)の蒸発エンタルピー ΔH = 44 kJ/mol H2O(液) → H2O(気) ΔH = 44 kJ |
|
凝縮エンタルピー |
物質1 molが凝縮するときの転移エンタルピー ※ すべてΔH<0 (発熱)である |
ex)H2O(気)の凝縮エンタルピー ΔH =−44 kJ/mol H2O(気) → H2O(液) ΔH =−44 kJ |
|
融解エンタルピー |
物質1 molが融解するときの転移エンタルピー ※ すべてΔH>0 (吸熱)である |
ex)H2O(固)の融解エンタルピー ΔH = 6.0 kJ/mol H2O(固) → H2O(液) ΔH = 6.0 kJ |
|
凝固エンタルピー |
物質1 molが凝固するときの転移エンタルピー ※ すべてΔH<0 (発熱)である |
ex)H2O(液)の凝固エンタルピー ΔH =−6.0 kJ/mol H2O(液) → H2O(固) ΔH =−6.0 kJ |
|
昇華エンタルピー |
物質1 molが昇華するときの転移エンタルピー ※ すべてΔH>0 (吸熱)である |
ex)H2O(固)の昇華エンタルピー ΔH = 50 kJ/mol H2O(固) → H2O(気) ΔH = 50 kJ |
|
凝華エンタルピー |
物質1 molが凝華するときの転移エンタルピー ※ すべてΔH<0 (発熱)である |
ex)H2O(気)の凝華エンタルピー ΔH =−50 kJ/mol H2O(気) → H2O(固体) ΔH =−50 kJ |
表.7 その他の反応に伴うエンタルピー変化
結合エネルギー |
気体分子内2原子間の結合1 molを切って、バラバラの原子にするのに必要な吸熱量 |
ex)O2の結合エネルギー ΔH = 498 kJ/mol O2(気) → 2O(気) ΔH = 498 kJ |
|
イオン化エネルギー |
気体状原子1 molから電子1 mol取って、一価の陽イオンにするのに必要な吸熱量 |
ex)Naのイオン化エネルギー ΔH = 493 kJ/mol Na(気) → Na+(気) + e− ΔH = 493 kJ |
|
電子親和力 |
気体状原子1 molが電子1 mol受け取って、一価の陰イオンになるときに放出される熱量 |
ex)Clの電子親和力 ΔH =−349 kJ/mol Cl(気) + e− → Cl−(気) ΔH =−349 kJ |
(3) 反応エンタルピーの求め方
(i) ヘスの法則
圧力一定の条件において、化学反応で出入りするエネルギーは、反応物と生成物のエンタルピーの差で表されます。例えば、B→Cの反応を、2つの異なった経路(B→CまたはB→A→C)で行った場合を考えてみます。しかしながら、どちらの反応も最初Bと最後Cのエンタルピーが同じであり、かつどんな化学変化においても全エネルギーは保存されるので、最終的なエンタルピー変化は同じになるはずです。そして、化学反応で出入りするエネルギーのほとんどは、熱という形態を取るために、化学変化に伴う熱の収支は、どのような反応経路を取っても同じになるのです。これを発見者であるロシアの化学者ジェルマン・アンリ・ヘスの名を取って、「ヘスの法則(Hess’ law)」といいます。
ヘスの法則は、いわば熱力学第一法則(エネルギー保存の法則)の化学的な言い換えです。しかし、熱力学第一法則の提唱以前に発見された法則なので、今でもその名を残しています。また、次の図.3のように、縦軸に物質の保有するエンタルピーを取り、反応物や生成物などのエンタルピー関係を表した図を、「エンタルピー図(enthalpy diagram)」といいます。エンタルピー図において、矢印は反応の向きを表しています。また、高エンタルピー状態から低エンタルピー状態へ向かう反応は発熱反応(ΔH<0)、低エンタルピー状態から高エンタルピー状態へ向かう反応は吸熱反応(ΔH>0)です。一般に物質がバラバラであるほど高エンタルピーになります。
図.3 ヘスの法則とエンタルピー図
(ii) 反応エンタルピーの導出
ヘスの法則を用いることで、反応エンタルピーの計算は、数学で学ぶ方程式と同様の扱いができます。これによって、直接測定することが困難な反応エンタルピーでも、間接的に計算で求められるようになるのです。反応エンタルピーの導出方法を示す前に、反応エンタルピーを付した反応式の基本について、再確認しておきましょう。例として、次の化学反応の反応エンタルピーについて考えてみます。
aA + bB → cC + dD ΔH = x kJ
@ 化学式は、物質1 molの保有するエンタルピー値である。係数a, b, c, dは物質のモル数を表し、通常の化学反応式と異なり、反応エンタルピーを表す場合では分数係数であっても許される。 A aA+bBは反応物のエンタルピー値を、cC+dDは生成物のエンタルピー値を表す。つまり、反応エンタルピーΔH = x kJは、反応物と生成物のエンタルピーの差である。 B 物質の量が2倍になれば、エンタルピーも2倍になるから、反応エンタルピーΔH = x kJも2倍になる。そこで、反応エンタルピーを付した化学反応式を2倍したり、1/2倍したりしてもよい。 |
これより、次の例題を解いてみましょう。炭素Cと酸素O2から、一酸化炭素COが生じる反応を考えてみます。炭素Cを燃焼させた場合、一酸化炭素COと同時に二酸化炭素CO2を生じることが多く、一酸化炭素COの生成エンタルピーを実験的に求めることは困難です。しかし、黒鉛Cと一酸化炭素COの燃焼エンタルピーは、それぞれ実験で正確に求められるので、一酸化炭素COの生成エンタルピーは、次のように計算することができます。なお、反応エンタルピーの求め方には、様々な方法がありますが、ここでは一般的な方法だけ示します。
【例題】 C(黒鉛)とCO(気)の燃焼エンタルピーは、それぞれΔH 1=−394 kJ/mol、ΔH2 =−283 kJ/molである。これらの値を用いて、CO(気)の生成エンタルピー〔kJ/mol〕を求めよ。 |
(ii-1) 消去法
消去法は、一般的な導出方法の1つです。ヘスの法則より、反応物→生成物の反応エンタルピーを求めるのに、どのような反応経路を取っても良かったことを思い出してください。まずは、求めたい反応エンタルピーをx kJ/molと置いて、与えられた反応エンタルピーを書き出します。
これより、求めたい化学反応式の反応エンタルピーは、(1)=(2)-(3)なので、生成エンタルピーx =−111 kJ/molということが分かります。
(ii-2) エンタルピー図法
エンタルピー図法は、複雑な反応エンタルピーを求めるのに適した導出方法です。一般的には、エンタルピー図の上部にくる物質ほど、エンタルピーが大きいので、反応性が高く不安定です。また、物質がバラバラの状態であるほど、粒子の熱運動は激しくなるので、エンタルピーは大きくなります。それ故に、一般的に単体や原子はエンタルピーが最も大きく、燃焼生成物(二酸化炭素CO2や水H2Oなど)はエンタルピーが最も小さいです。
そこで、エンタルピー図を作成するときには、単体や原子を最も高エンタルピー(一番上)に書き、燃焼生成物は最も低エンタルピー(一番下)に書くことにします。しかし、問題になっている化学反応が、発熱反応(ΔH<0)なのか吸熱反応(ΔH>0)なのかが分かっていないと、エンタルピー図を完成させることができません。そこで、問題になっている化学反応を「発熱反応(ΔH<0)」と仮定し、エンタルピー図に書き加えるのです。そして、求めた反応エンタルピーxが負の値なら、仮定通りの発熱反応(ΔH<0)として扱い、求めた反応エンタルピーxが正の値なら、仮定とは異なる吸熱反応(ΔH>0)として扱います。
反応物Aが生成物Bになるとき A → B @ 求める反応エンタルピーΔHを発熱(ΔH<0)と仮定する A 単体や原子を一番上に書く B 完全燃焼生成物は一番下に書く C エンタルピー差より反応エンタルピーΔHを求める |
図.4 エンタルピー図法
さて、エンタルピー図法を用いて、一酸化炭素COの生成エンタルピーを求めてみましょう。まず、一酸化炭素COの生成エンタルピーを発熱反応(ΔH<0)と仮定します。そして、黒鉛C(ΔH1=−394 kJ/mol)と一酸化炭素CO(ΔH2=−283 kJ/mol)の燃焼エンタルピーが問題文で与えられているので、完全燃焼生成物である二酸化炭素CO2(完全燃焼生成物)を一番下に書きます。
図.5 エンタルピー図法で一酸化炭素COの生成エンタルピーを求める
図.3のエンタルピー図より、ΔH=−294+283なので、生成エンタルピーΔH=−111 kJ/molということが分かります。
(4) 与えられた反応エンタルピーの利用方法
反応エンタルピーは、(3)で示した方法で求めるのが一般的です。しかしながら、実はもっと簡単に反応エンタルピーを求める方法があります。ただし、この方法は、生成エンタルピーまたは燃焼エンタルピー、結合エネルギーのいずれかが、反応系のすべての物質について分かっていないと使えません。また、この方法は、反応エンタルピーを機械的に求めるものなので、初学者がこの方法に頼り過ぎると、熱化学の正しい理解が成されないという恐れもあります。この方法は、消去法やエンタルピー図法を習得した上で、使うことをお勧めします。
(i) 生成エンタルピーの利用
反応エンタルピーは、化学変化に関与する物質の生成エンタルピーから、ヘスの法則を利用して求められます。例えば、化学反応式aX+bY→cZの反応エンタルピーΔHについて、X, Y, Zの生成エンタルピーが各々x, y, z kJ/molで与えられるとき、反応系のエンタルピーは、次のエンタルピー図で示される関係があります。生成エンタルピーは、ある化合物をその成分元素の単体から作るときの反応エンタルピーなので、単体をエンタルピー図の一番上に書きます。
図.6 生成エンタルピーの利用
エンタルピー図より、ΔH=cz-(ax+by)となります。ここで、czは生成物Zの生成エンタルピーの総和、ax+byは反応物XおよびYの生成エンタルピーの総和を表しています。つまり、反応系の生成エンタルピーが与えられているときは、次式のように生成物と反応物のそれぞれの生成エンタルピーの差から、反応エンタルピーΔHが求められます。
aX + bY → cZ の反応エンタルピーΔHについて
反応エンタルピーΔH = (生成物Zの生成エンタルピーの総和) - (反応物XおよびYの生成エンタルピーの総和)
(ii) 燃焼エンタルピーの利用
反応エンタルピーは、化学変化に関与する物質の燃焼エンタルピーから、ヘスの法則を利用して求められます。例えば、化学反応式aX+bY→cZの反応エンタルピーΔHについて、X, Y, Zの燃焼エンタルピーが各々x, y, z kJ/molで与えられるとき、反応系のエンタルピーは、次のエンタルピー図で示される関係があります。燃焼エンタルピーは、ある物質を完全燃焼させたときの反応エンタルピーなので、燃焼生成物をエンタルピー図の一番下に書きます。
図.7 燃焼エンタルピーの利用
エンタルピー図より、ΔH=(ax+by)-czとなります。ここで、czは生成物Zの燃焼エンタルピーの総和、ax+byは反応物XおよびYの燃焼エンタルピーの総和を表しています。つまり、反応系の燃焼エンタルピーが与えられているときは、次式のように生成物と反応物のそれぞれの燃焼エンタルピーの差から、反応エンタルピーΔHが求められます。
aX + bY → cZ の反応エンタルピーΔHについて
反応エンタルピーΔH = (反応物XおよびYの燃焼エンタルピーの総和) - (生成物Zの燃焼エンタルピーの総和)
(iii) 結合エネルギーの利用
化学反応は、一般的にエネルギーの出入りを伴います。その理由は、化学反応が起こるとき、反応物中の化学結合が切れて、粒子の組み換えが起こり、新たな化学結合が生じて、生成物ができるからです。したがって、反応物と生成物のそれぞれの化学結合のエネルギー差の分だけ、エネルギーが出入りするはずです。分子内の共有結合を切断するために必要なエネルギーを「結合エネルギー(bond energy)」といい、気体分子内の1 mol当たりの値で示します。例えば、1 molの水素分子H2を2 molの水素原子Hに分解するためには、H-Hの結合エネルギー436 kJ/molに相当するエネルギーを加える必要があります(吸熱反応)。そして、逆に2 molの水素原子Hが1 molの水素分子H2になるときには、H-Hの結合エネルギーに相当するエネルギーが発生します(発熱反応)。
H2(g) → 2H(g) ΔH =+436 kJ
2H(g) → H2(g) ΔH =−436 kJ
図.8 水素分子H2の結合エネルギー
したがって、反応物と生成物のそれぞれの化学結合のエネルギー差から、ヘスの法則を利用して反応エンタルピーが求まります。例えば、化学反応式A2(気)+B2(気)→2AB(気)の反応エンタルピーΔHについて、A-A, B-B, A-Bの結合エネルギーが、各々x, y, z kJ/molで与えられるとき、反応系のエンタルピーは、次のエンタルピー図で示される関係があります。結合エネルギーは、ある気体分子の共有結合を切断して、バラバラの原子にするときに必要な反応エンタルピーなので、原子をエンタルピー図の一番上に書きます。
図.9 結合エネルギーの利用
エンタルピー図より、ΔH=(x+y)-2zとなります。ここで、2zは生成物ABの結合エネルギーの総和、x+yは反応物A2およびB2の結合エネルギーの総和を表しています。つまり、反応系の結合エネルギーが与えられているときは、次式のように生成物と反応物のそれぞれの化学結合のエネルギーの差から、反応エンタルピーΔHが求められます。
A2(気) + B2(気) → 2AB(気) の反応エンタルピーΔHについて
反応エンタルピーΔH = (反応物A2およびB2の結合エネルギーの総和) - (生成物ABの結合エネルギーの総和)
(5) ヘスの法則の応用
固体結晶の状態にある陽イオンと陰イオンを完全に切り離して、ばらばらの気体状態にするのに必要なエネルギーのことを、「格子エネルギー(lattice energy)」といいます。例えば、塩化ナトリウムNaClの結晶の格子エネルギーQ〔kJ/mol〕は、次式のように表されます。
NaCl(固) → Na+ (気) + Cl- (気) ΔH = Q kJ
格子エネルギーQは、直接測定することが困難です。そこで、ヘスの法則を用いて、計算により間接的に求めます。大学入試では、次の図.10のようなエンタルピー図を書いて、格子エネルギーQを求めさせる問題がしばしば出題されます。このエンタルピー図を用いて、NaCl(固)の結晶1 molを気体状態のナトリウムイオンNa+ (気)と塩化物イオンCl- (気)に引き離すのに必要な格子エネルギーQを求めてみましょう。
図.10 エンタルピー図より、格子エネルギーQを求める
図.10のように、ヘスの法則を応用して、実験値に基づきイオン結晶の格子エネルギーQを求める循環過程のことを、「ボルン・ハーバーサイクル(Born-Haber cycle)」といいます。これより、格子エネルギーQは、次のように間接的に求めることができます。
・参考文献
1) 齊藤烈/藤嶋昭/山本隆一/他19名「化学」啓林館(2012年発行)
2) 石川正明「新理系の化学(下)」駿台文庫(2005年発行)
3) 卜部吉庸「化学の新研究」三省堂(2013年発行)
4) 渡辺正/北條博彦 共著「高校で教わりたかった化学」日本評論社(2008年発行)