・酸と塩基(中和反応)


(1)中和反応

 中和反応(neutralization)とは、酸と塩基の化学反応のことです。酸から生じる水素イオンH+ と、塩基から生じる水酸化物イオンOH- とが、互いに酸と塩基の性質を打ち消し合いながら反応していき、熱力学的に安定な水H2Oを生成します。

 

H+ + OH- → H2O

 

ただし、中和反応において注意しなければならないことは、これはアレニウスの定義における酸塩基でしか成立しないということです。この理由は、ブレンステッドの定義における酸塩基の定義では、酸と塩基は連続的な概念であると考えられていて、アレニウスの定義における「酸と酸の反応」でも、酸塩基反応が進行するからです。例えば、ブレンステッドの定義では、硫酸H2SO4と硝酸HNO3が酸塩基反応をします。

 

H2SO4() + HNO3(塩基) HSO4- (共役塩基) + H2NO3+ (共役酸)

 

この反応を、中和反応と呼ぶのは違和感があります。したがって、中和反応とは、水H2Oよりも酸性度が強い物質と、水H2Oよりも塩基性度が強い物質の反応であると定義することにします。

また、硫酸H2SO4と硝酸HNO3をそれぞれ1 molだけ完全に中和するのに必要な水酸化ナトリウムNaOHは、それぞれ1 molおよび2 molになります。このように1 molの硫酸H2SO42 molの水酸化ナトリウムNaOHが必要になる理由は、硫酸H2SO42価の酸だからです。

 

HNO3 + NaOHNaCl + H2O

H2SO4 + 2NaOH → Na2SO4 + 2H2O

 

また、弱酸である酢酸CH3COOHを完全に中和するときの水酸化ナトリウムNaOHは、一体どのくらい必要になるのでしょうか?水溶液中では、酢酸CH3COOHのような弱酸は、わずかな水素イオンH+ しか電離していないから、少しの強塩基で中和できるなどと、単純に考えてしまいがちです。しかし、それはもちろん事実とは異なります。中和反応は、酸塩基の出す過剰な水素イオンH+ と水酸化物イオンOH- が、安定な水H2Oになっていく点に反応の本質があります。したがって、たとえ弱酸や弱塩基であっても、アレニウスの定義における酸塩基は、すべて水H2Oよりは水素イオンH+ や水酸化物イオンOH- を出す力の強い物質であるのだから、これらの一方が少しでも残っていれば、完全中和したことにはならないのです。つまり、完全中和するためには、酸や塩基の強弱とは無関係に、とにかく出しうる水素イオンH+ や水酸化物イオンOH- が完全になくなるように、酸と塩基を加えれば良いのです。よって、1 molの酢酸CH3COOHを完全中和するのに必要な水酸化ナトリウムNaOHは、1 molになります。

 

CH3COOH + NaOH → CH3COONa + H2O

 

まとめると、中和反応においては、酸や塩基の強さに関わらず、次のような関係が成り立ちます。

 

酸が出せるH+ mol = 塩基が出せるOH- mol

 

また、酸HAの価数をa、濃度をCA mol/L、体積をVA mLとし、塩基Bの価数をb、濃度をCB mol/L、体積をVB mLとすると、酸塩基の中和反応においては、次のような一般式が導き出せます。

 

a × CA × VA/1000 = b × CB × VB/1000

 

(2)塩の加水分解反応

酸由来の陰イオンと塩基由来の陽イオンからできた化合物を、塩(salt)といいます。塩は、その組成によりいくつかに分類され、酸塩基が完全中和して、酸のHも塩基のOHも残っていない塩を正塩(中性塩)、酸のHが残っている塩を酸性塩、塩基のOHが残っている塩を塩基性塩といいます。なお、この分類は形式的なものであり、塩の水溶液の液性とは、無関係であることに注意が必要です。また、複数の塩からなる複塩や、錯イオンを含む錯塩などもあります。

 

.1  主な塩の分類

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 アレニウスの定義における酸と塩基は、完全中和すると塩の水溶液となります。しかし、「弱酸+強塩基」や「強酸+弱塩基」による正塩の場合、弱酸由来の陰イオンは水素イオンH+ をもらう能力が大きいため、また弱塩基由来の陽イオンは水素イオンH+ を放出する能力がある程度大きいため、ほんの少しではあるものの、中和反応が戻ることになります。

 

CH3COONa + H2O CH3COOH + NaOH

NH4Cl + H2O NH3 + H2O + HCl

 

したがって、このような場合、中和は完了していないのではないかと思うかもしれません。しかし、もしそう考えると、中和は永遠に完了しないこととなります。なぜならば、上記の反応は平衡反応であり、どんな条件においても、ある程度は中和反応が押し返されるからです。つまり、「弱酸+強塩基」や「強酸+弱塩基」による中和反応の場合、中和の当量点の液性は完全な中性ではなく、弱酸性あるいは弱塩基性となるのです。上記の反応では、塩が水H2Oと反応することによって、水素イオンH+ または水酸化物イオンOH- を生じるため、この反応を特に、塩の加水分解(hydrolysis)といいます。これより、正塩の水溶液の液性は、それを形成するもとの酸塩基の強弱より、次の表.2のように推測することができます。

 

.2  塩の水溶液の液性

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(i)「強酸+強塩基」の場合

 塩酸HClと水酸化ナトリウムNaOHの中和反応で生じる塩化ナトリウムNaClは、水に溶けると次のように電離します。

 

NaCl → Na+ + Cl-

 

このときに生じるナトリウムイオンNa+ と塩化物イオンCl- は、ともに安定であり、水溶液中では何の変化もしないので、水溶液の液性は中性のままです。

 

(ii)「弱酸+強塩基」の場合

 酢酸CH3COOHと水酸化ナトリウムNaOHの中和反応で生じる酢酸ナトリウムCH3COONaは、水に溶けると次のように電離します。

 

CH3COONa → CH3COO- + Na+

 

このとき生じる酢酸イオンCH3COO- は、塩基性が水H2Oより強いため、水H2Oと反応(加水分解)して、水酸化物イオンOH- を生じ、水溶液の液性は弱塩基性となります。

 

CH3COO- + H2O CH3COOH + OH-

 

(iii)「強酸+弱塩基」の場合

 塩酸HClとアンモニアNH3の中和反応で生じる塩化アンモニウムNH4Clは、水に溶けると次のように電離します。

 

NH4Cl → NH4+ + Cl-

 

このとき生じるアンモニウムイオンNH4+ は、酸性が水H2Oより強いため、水H2Oと反応(加水分解)して、オキソニウムイオンH3O+ を生じ、水溶液の液性は弱酸性となります。

 

NH4+ + H2O NH3 + H3O+

 

(iv)酸性塩の場合 

 また、硫酸水素ナトリウムNaHSO4や炭酸水素ナトリウムNaHCO3、リン酸水素ナトリウムNa2HPO4、リン酸二水素ナトリウムNaH2PO4などの酸性塩の液性については、残っているHを水素イオンH+ として電離する反応と、水H2Oと反応してもとの酸へ戻る反応の2つが起こりうるため、液性を簡単に判断することはできません。このような場合は、2つの反応の電離の起こりやすさ、すなわち電離定数の大小から、酸性塩基性を判断します。例えば、炭酸水素ナトリウムNaHCO3の水溶液の場合、次の2の反応が起こります。

 

 HCO3- + H2O H3O+ + CO32-  ・・・ Ka=10-10.3

HCO3- + H2O H2CO3 + OH-  ・・・ Kb=10-7.7

 

これより、炭酸水素ナトリウムNaHCO3の水溶液の場合は、Ka < Kbなので、炭酸水素ナトリウムNaHCO3の水溶液は、塩基性であると判断することができます。このようにして酸性塩の液性を調べると、次の表.3のようになります。酸性塩の液性は単純に判断できないので、ある程度覚えるしかありません。硫酸水素ナトリウムNaHSO4と炭酸水素ナトリウムNaHCO3の液性ぐらいは、覚えておきましょう。

 

.3  酸性塩の水溶液の液性

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(3)水のイオン積とpH

普通の水は、二酸化炭素CO2やわずかな電解質を含み、電流をいくらか流します。そこで、ドイツの物理学者であるコールラウシュは、特別な蒸留装置で不純物を除去した純粋な水H2Oを作り、精密に電気伝導性を測定しました。すると、純水でもわずかに電流が流れることが確かめられたのです。このことから、水溶液中あるいは純粋中において、水分子の一部は電離して、次のような平衡状態になっており、あらゆる水溶液中において、次のような関係が成立していることが分かりました。

 

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ここで、希薄溶液中では、水H2Oは酸や塩基とは比べ物にならないぐらい大量に存在しており、[H2O]1000/1856 mol/Lで、事実上一定値となります。したがって、次の関係が成り立ちます。

 

K[H2O]=[H+][OH-]

Kw =[H+][OH-]

 

Kwは水のイオン積(ionic product)と呼ばれ、25℃ではKw = 1.0×10-14 (mol/L)2で一定値となります。また、水素イオンH+ と水酸化物イオンOH- から、水H2Oが生成する反応は発熱反応であり、温度を上げると、平衡は吸熱方向に移動するので、この平衡では[H+][OH-]が増加し、Kwの値も大きくなります。つまり、Kwの値は温度に依存し、温度が高くなると、Kwの値は増大するのです。

 

H+ aq + OH- aq = H2O + 56.5 kJ

 

また、水溶液中の酸塩基の強さは、[H+][OH-]によって定量的に表すことができます。しかし、水のイオン積はKw=1.0×10-14 と非常に小さい値になるため、[H+][OH-]もたいてい10-x で表されるような非常に小さい値になり、このままでは少々扱いにくいです。そこで、このような便宜上の理由から、一般的に次のような負の対数をとって扱うことが多いです。

 

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ただし、水のイオン積はKw= [H+][OH-]= 1.0×10-14 であるので、負の対数をとると、pH + pOH=14の関係になり、どちらか一方さえ分かれば、他方は簡単に求めることができます。したがって、特に何の断りもないときは、pOHではなくpHを使うことが多いです。なお、中性の溶液では、[H+]=[OH-]の関係が成立しているので、

 

Kw=[H+][OH-]=[H+]2=1.0×10-14

[H+]=1.0×10-7

 

よって、中性溶液ではpH=7となります。また、酸性溶液では[H+]>[OH-]の関係が成り立っているので、pH<7が酸性であるということも分かります。同様にして、塩基性溶液では[H+]<[OH-]の関係が成り立っているので、pH>7が塩基性になります。

 

.4  液性とpHの関係(25)

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(4)中和滴定実験

HAの価数をa、濃度をCA mol/L、体積をVA mLとし、塩基Bの価数をb、濃度をCB mol/L、体積をVB mLとすると、酸塩基の中和反応においては、次のような関係が成り立ちます。

 

a × CA × VA/1000 = b × CB × VB/1000

 

ここで、abは物質に固有の値なので、定数として扱うことができます。そこで、例えば、CAが未知の場合、残るCB, VA, VBが分かれば、CAを上式より求めることができます。中和滴定実験とは、中和反応を利用して、VA, VBを実験的に求め、未知の酸または塩基の水溶液の濃度を求めようという実験のことです。しかし、中和滴定実験では、VA, VBの値しか直接的に知ることができないため、どちらかの溶液の濃度は、既知でなければなりません。そこで、濃度既知の水溶液は、一般的に試薬製造業者が製造供給している、極めて濃度の正確な標準溶液を使うことが多いです。

中和滴定では、まず濃度を定めたい未知の酸または塩基の水溶液を、ホールピペットでコニカルビーカーに取ります。ホールピペットを用いるのは、標線部の管径が細くなっていて誤差が少なく、極めて精度が高いからです。このときに、精度の低い駒込ピペットやメスシリンダーを使ってはいけません。そして、濃度既知の塩基または酸の標準溶液を、ビュレットからゆっくりと滴下していき、中和点に達するまでに要した標準溶液の体積を求めるのです。なお、水溶液の濃度を正確に調整するときは、メスフラスコを使用します。メスフラスコは精度が高く、正確に溶液を希釈したいときなどに、よく用いられる実験器具です。

 

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.1  中和滴定に用いる主な実験器具(画像はこちらからお借りしました)

 

しかしながら、いつ反応が完了したのかは、反応溶液をただ見つめていても分かりません。そこで、いつ反応が完了したのかを、どのようにして知るのかが問題となります。例として、0.1 mol/Lの塩酸HCl 10 mLを、0.1 mol/Lの水酸化ナトリウムNaOH水溶液で滴定するときを考えてみます。縦軸に混合溶液のpH、横軸にNaOH水溶液の滴下量〔mL〕を取り、それをグラフに表すと、次の図.2のようになります。

 

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.2  強酸-強塩基の滴定曲線(画像はこちらからお借りしました)

 

どちらも0.1 mol/Lの酸・塩基なので、中和の当量点は、水酸化ナトリウムNaOH水溶液を10 mL加えたときになります。それよりも注目すべきは、溶液のpHが、中和点で急激に変化しているということです。これをpHジャンプ(pH jump)といいます。このように中和点付近で、急激にpHが変化する理由は、溶液の[H+]を計算してみると分かります。

 

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このように中和点付近では、ごくわずかな[H+]の変化でも、急激に溶液のpHを変化させるのです。これは、pH[H+]の負の対数であることに起因しています。したがって、中和滴定において中和点を知るためには、pHメーターを使って、滴定とともに溶液のpHを測定して滴定曲線を書き、その曲線上で急激にpHが変化する点を読み取れば良いということになります。しかしながら、pHメーターは高価な実験器具であり、また取り扱いも丁寧でなくてはならないので、高校の化学実験レベルで使われることはほとんどありません。したがって、たいていの場合は、この急激なpH変化とともに変色するような物質を少量加えておいて、変色したときをもって、中和完了点とすることが多いです。このときに加えておく物質は、反応の完了点を指示してくれる試薬なので、一般的に指示薬(indicator)と呼ばれます。指示薬の多くは、ベンゼン環を含む複雑な構造を持つ有機化合物であり、特定のpHで分子構造が変化することで、色が変わります。各滴定において、何を指示薬として使うことができるかは、酸塩基の強弱と指示薬の変色域とで決まります。

 

.5  主な指示薬とその変色域

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 例えば、HCl+NaOHのような「強酸+強塩基」の滴定では、完全中和点がpH=7になりますが、中和点付近のpHの変化幅が極めて大きいので、変色域がpH=311の中に入っている物質なら、すべて指示薬として使うことができます。しかし、CH3COOH+NaOHのような「弱酸+強塩基」の滴定では、完全中和点がpH9であると同時に、この点付近でのpHの変化幅が小さくなっているので、この付近に変色域を持つ物質しか、指示薬として使うことができないのです。次の図.3に、様々な強さの酸塩基の滴定曲線を示します。

 

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.3  様々な強さの酸塩基の滴定曲線(画像はこちらからお借りしました)

 

これより、完全中和点のpHおよび中和点付近でのpHの変化幅を考慮すると、指示薬としての可否は、ほぼ次の表.6のようになります。「強酸+強塩基」の滴定では、フェノールフタレインでもメチルオレンジでも、どちらの指示薬でも使うことができますが、それ以外の酸塩基滴定では、使えない指示薬が出てくるので、注意が必要になります。また「弱酸+弱塩基」の滴定では、いずれの指示薬でも、完全中和点を特定することができないので、どちらの指示薬も使うことができません。

 

.6  指示薬の使用の可否

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中和滴定に用いるガラス器具の使い方については、ビュレットやホールピペットは、滴定する溶液の体積を測定する器具なので、純水で濡れていると、誤った実験結果が出てしまいます。ただし、測定する溶液で濡れていることには構わないので、自然乾燥させる時間がないときは、中に入れる溶液で数回共洗いすれば、使用することができます。一方で、メスフラスコやビーカーは、この逆になります。すなわち、滴定される溶液は、その「molが変わらなければ何の問題もないのだから、純水が入って溶液の濃度が変わっても、問題がないということなのです。つまり、メスフラスコやビーカーを自然乾燥させる時間がないときは、純水で洗えば、そのまま使用できます。

 

(5)複雑な中和滴定

 酸と塩基が1種類ずつ反応する中和滴定ならば、反応は簡単に解析することができます。しかし、滴定で起こる反応が複数ある場合は、その中和滴定の解析は少々複雑になります。次の(i)(iii)に、よく問題にされる複雑な中和滴定を示します。

 

(i)(NH4Cl + HCl) + NaOHの場合

 この場合、反応は次の2段階で進むことになります。

 

HCl + NaOHNaCl + H2O ・・・(I)

NH4Cl + NaOHNaCl + NH3 + H2O ・・・(II)

 

 中和滴定では、式(I)の反応が終わってから、式(II)の反応が進むことになります。塩化アンモニウムNH4Cl水溶液は弱酸性なので、式(II)の反応は、pH=56付近から始まります。そこで、水溶液中の塩酸HClの物質量をx mol、塩化アンモニウムNH4Clの物質量をy molとすると、次の関係が成り立ちます。

 

(I)で滴下したNaOHmol = x mol (メチルオレンジがから)

(II)で滴下したNaOHmol = y mol (フェノールフタレインがから)

 

(ii)(Na2CO3 + NaHCO3) + HClの場合

 この場合、反応は次の2段階で進むことになります。

 

Na2CO3 + HCl → NaHCO3 + NaCl ・・・(III)

NaHCO3 + HClNaCl + CO2 + H2O ・・・(IV)

 

 中和滴定では、式(III)の反応が完全に終わってから、式(IV)の反応が進むことになります。炭酸ナトリウムNa2CO3は式(III)の反応で完全中和されずに、炭酸水素ナトリウムNaHCO3となるので、式(IV)では、反応する炭酸水素ナトリウムNaHCO3の物質量が、炭酸ナトリウムNa2CO3の物質量分だけ増加することになります。そこで、炭酸ナトリウムNa2CO3の物質量をx mol、炭酸水素ナトリウムNaHCO3の物質量をy molとすると、次の関係が成り立ちます。

 

(III)で滴下したHClmol = x mol (フェノールフタレインがから)

(IV)で滴下したHClmol = y mol + x mol (メチルオレンジがから)

 

(iii)(NaOH + Na2CO3) + HClの場合

 この場合、反応は次の3段階で進むことになります。

 

NaOH + HClNaCl + H2O ・・・(V)

Na2CO3 + HCl → NaHCO3 + NaCl ・・・(VI)

NaHCO3 + HClNaCl + CO2 + H2O ・・・(VII)

 

 この中和滴定においては、式(V)→(VI)→(VII)の順に反応が起こります。しかし、式(VI)の反応はpH=12ぐらいから始まるため、式(V)の反応が90%ぐらい進行してから、同時に式(VI)の反応も少し起こり始めるのです。つまり、この反応では、式(V), (VI)の反応を個別に定量することは困難であり、式(V), (VI)の反応を完全に終えてから、式(VII)の反応を定量することになります。そこで、水酸化ナトリウムNaOHの物質量をx mol、炭酸ナトリウムNa2CO3の物質量をy molとすると、次の関係が成り立ちます。

 

(V), (VI)で滴下したHClmol = x mol + y mol (フェノールフタレインがから)

(VII)で滴下したHClmol = y mol (メチルオレンジがから)


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・参考文献

1) 石川正明「新理系の化学()」駿台文庫(2005年発行)

2) 卜部吉庸「化学の新研究」三省堂(2013年発行)