・アルミニウム塊を用いたアボガドロ定数の測定
【目次】
@ アルミニウム塊を電子天秤に載せて、質量を量る。
A アルミニウム塊をタコ糸で縛り、吊るせるようにする。
B 50 mLビーカーに水を約50 mL入れ、電子天秤に載せて、表示を0にする。
C タコ糸を持って、Aのアルミニウム塊を水中に浸けて静止させ、表示質量を記録する。このとき、アルミニウム塊がビーカーの底に付かないように注意すること。
図.1 アルミニウム塊をタコ糸で吊るし、水中で静止させる
(2) 理論
古代ギリシアの物理学者であるアルキメデスは、「流体中の物体は、その物体が押しのけている流体の重さと同じ大きさで、上向きの浮力を受ける」という法則を発見しました。これを、「アルキメデスの原理」といいます。
アルミニウム塊が水中にあるとき、アルミニウム塊は、それが押しのけている水の重さと同じ大きさで、上向きの浮力 ρVg を受けます。一方で、水とビーカーは、同じ大きさで、下向きの浮力の反作用 ρVg を受けます。つまり、水とビーカーにかかる力は、水とビーカーの重力 Mg、秤からの垂直抗力 N、浮力の反作用 ρVg の3つです。
図.2 〈物体にかかる力〉および〈水とビーカーにかかる力〉のつり合い
このうち、秤が計測できるのは、垂直抗力 N です。ただし、垂直抗力 N の単位は「N」であるし、秤の表示質量の単位は「g」なので、数値は完全には一致はしません。また、実験操作Bは、水とビーカーの重力 Mg を0にするものです。これより、実験操作Cにおいて、力のつり合いの式を立てると、次のようになります。
この が、「秤の表示質量」を表しています。これより、水の密度 ρ で、秤の表示質量
を割ることで、アルミニウム塊の体積 V が求められます。アルミニウム塊の質量は、実験操作@のように直接測ることができるので、この実験からは、アルミニウム塊の密度を算出することができます。
(3) 結果
この実験では、アルミニウム塊として、株式会社八幡ねじの「アルミニウムサイコロ」を使用しました。入手が難しい場合は、一円玉でも実験が可能です。実験操作@および実験操作Cの結果は、次のようになりました。
表.1 アルミニウム塊の質量と、アルミニウム塊の水中での質量
実験操作@ |
実験操作C |
アルミニウム塊の質量 |
アルミニウム塊の水中での質量 |
8.44 g |
3.11 g |
これより、水の密度を1.00 g/cm3とすると、アルミニウム塊の体積は、次のように求めることができます。
実験操作@より、アルミニウム塊の質量は8.44 gなので、このアルミニウム塊の密度は、次のようになります。
アルミニウムAlの単位格子は、次の図.3に示すような「面心立方格子」であり、格子定数(単位格子一辺の長さ)は4.05×10—8 cmです。また、面心立方格子の格子内原子数は、1/8×8+1/2×6=4個です。
図.3 アルミニウムAlの単位格子は、「面心立方格子構造」を取る
これより、アルミニウムの原子量を27.0とすると、アボガドロ定数 は、次のように求めることができます。