無機化学(イオンの系統分離)


【目次】

(1) 系統分離

(2) 沈殿物の再溶解方法

(i) 塩化銀AgCl

(ii) 塩化鉛(II) PbCl2

(iii) 硫化銅(II) CuS

(iv) 水酸化鉄(III) Fe2O3nH2O

(v) 水酸化アルミニウムAl(OH)3

(vi) 硫化亜鉛ZnS

(vii) 炭酸カルシウムCaCO3

(3) 炎色反応

(4) イオンの性質のまとめ

(i) 陽イオンの性質

(ii) 陰イオンの性質


(1) 系統分離

何種類かの陽イオンが含まれている混合物から、各イオンを分離し、イオンを決定することを、「陽イオンの定性分析(cation analysis)」といいます。含まれているイオンが既知で、かつ23種類であるときは、たいてい何通りもの分析方法がありえます。しかし、含まれているイオンが未知であったり、既知ではあるが多種類であったりするときは、その分析方法も限られ、それを「系統分析(phyloanalysis)」といいます。複雑な問題では、イオンを分離する操作は、以下の手順で行うことが多いです。

 

.1  イオンの系統分離

 

[操作1] HClを加え、Ag+, Pb2+, Hg22+を沈殿させる。[覚え方:銀(Ag+)(Pb2+)ハゲ(Hg22+)

希塩酸HClを加えると、塩化物イオンCl- によって、沈殿が生じます。ただし、塩化鉛(II) PbCl2の沈殿は、ある程度溶解度が大きいため、一部の鉛(II)イオンPb2+ は、沈殿せずにそのままろ液に混ざることがあります。

 

Ag+ + Cl-  AgCl↓()

Pb2+ + 2Cl-  PbCl2()

Hg22+ + 2Cl-  Hg2Cl2()

 

[操作2] 酸性状態のろ液にH2Sを吹き込み、イオン化傾向がSn2+より小さい金属陽イオンを沈殿させる。

硫化水素H2Sを吹き込むと、硫化物イオンS2- によって、沈殿が生じます。ただし、酸性状態では、金属硫化物の溶解度が大きくなってしまうので、酸性条件では、硫化亜鉛(II) ZnS・硫化鉄(II) FeS・硫化ニッケル(II) NiS・硫化マンガン(II) MnSは、ほとんど溶解してしまいます。よって、操作1で希塩酸HClを加えたあとに、硫化水素H2Sを吹き込むことで、イオン化傾向の小さい金属陽イオン((II)イオンCu2+・カドミウム(II)イオンCd2+・スズ(II)イオンSn2+)だけを、沈殿として分離することができるのです。また、操作1で完全に沈殿しなかった鉛(II)イオンPb2+ が、このとき硫化鉛(II) PbSとして沈殿してくることもあります。

 

Cu2+ + S2-  CuS↓()

Cd2+ + S2-  CdS↓()

Sn2+ + S2-  SnS↓()

 

[操作3] NH3NH4Clの混合溶液を加え、3価の金属陽イオンFe3+, Al3+, Cr3+を水酸化物として沈殿させる。

操作3の前に、ろ液を煮沸して、硝酸HNO3などの酸化剤を加えていますが、これにはきちんとした理由があります。まず、ろ液を煮沸する理由は、ろ液に硫化水素H2Sが溶け込んでいるからです。操作2では、ろ液を硫化水素H2Sの飽和溶液にするので、硫化水素H2Sがかなり溶け込んでいるのです。そこで、ろ液を煮沸することで、溶け込んでいる硫化水素H2Sを追い出すことができます。

また、煮沸したあとに酸化剤を加える理由は、硫化水素H2Sによって還元された鉄(II)イオンFe2+ を酸化して、鉄(III)イオンFe3+ に戻すためです。硫化水素H2Sは、鉄(II)イオンFe2+ より還元力が強いです。そのため、鉄(III)イオンFe3+ がろ液に含まれている場合、硫化水素H2Sによって鉄(III)イオンFe3+ の一部が、鉄(II)イオンFe2+ へと還元されているのです。そこで、硝酸HNO3などの酸化剤を加えてやることで、すべての鉄イオンを鉄(III)イオンFe3+ へと戻すことができます。また、このように鉄(II)イオンFe2+ をわざわざ酸化する理由は、鉄(II)イオンFe2+ より鉄(III)イオンFe3+ の方が、水酸化物イオンOH- と結合して沈殿しやすく、操作で回収しやすくなるからです。

 

無題.png

 

ろ液にNH3NH4Clの混合溶液を加えると、アンモニアNH3から生じる水酸化物イオンOH- によって、水酸化物の沈殿が生じます。ただし、この混合溶液は緩衝液なので、アンモニアNH3から生じる水酸化物イオンOH- は、塩化アンモニウムNH4Clの電離によって、かなり抑えられています。3価の金属陽イオン鉄(III)イオンFe3+・アルミニウムイオンAl3+・クロム(III)イオンCr3+ の水酸化物は、それだけ溶解度が小さく、沈殿しやすいのです。なお、ここで沈殿する水酸化鉄(III)は、化学式Fe2O3nH2Oで表されるいくつかの物質の混合物であることが分かっています。具体的には、n1FeO(OH)n3Fe(OH)3などが知られています。

 

無題.png

 

2Fe3+ + 6OH- + (n3)H2O  Fe2O3nH2O↓(赤褐)

Al3+ + 3OH-  Al(OH)3()

Cr3+ + 3OH-  Cr(OH)3(灰緑)

 

.1  溶解度積Kspの値(25)

 

[Fe3+][OH-]3

[Al3+][OH-]3

[Cr3+][OH-]3

溶解度積Ksp

7.1×10-40

1.1×10-33

2.5×10-39

 

このとき、亜鉛(II)イオンZn2+・ニッケル(II)イオンNi2+・コバルト(II)イオンCo2+ は、アンモニアNH3の濃度が大きいので、アンミン錯イオンを作って、沈殿しません。また、緩衝液では、水酸化物イオンOH- の濃度が小さくなっているので、マグネシウムイオンMg2+ やマンガン(II)イオンMn2+ は、水酸化物として沈殿しないようになっています。通常はこのように、マグネシウムイオンMg2+ やマンガン(II)イオンMn2+ が沈殿しないpH78程度で操作することが多いです。なお、ろ液にマグネシウムイオンMg2+ やマンガン(II)イオンMn2+ がなければ、アンモニアNH3を十分に加えるだけで問題ありません。

 

[操作4] 塩基性状態のろ液にH2Sを吹き込み、イオン化傾向がZn2+より小さい金属陽イオンを沈殿させる。

硫化水素H2Sを吹き込むと、硫化物イオンS2- によって、沈殿が生じます。なお、塩基性では、硫化物イオンS2- の濃度が大きくなっているので、沈殿が生じやすくなっています。また、硫化水素H2SはアンモニアNH3と中和して、硫化物イオンS2- を生じさせます。そのため、イオン化列で亜鉛(II)イオンZn2+ より小さい金属イオンが、たとえアンミン錯イオンを作っていたとしても、錯イオンを破壊して、硫化物として沈殿します。

 

無題.png

 

Ni2+ + S2-  NiS↓()

Zn2+ + S2-  ZnS↓()

Mn2+ + S2-  MnS↓(淡紅)

Co2+ + S2-  CoS↓()

 

[操作5] ろ液に(NH4)2CO3水溶液を加え、アルカリ土類金属イオンを沈殿させる。

炭酸アンモニウム(NH4)2CO3水溶液を加えると、炭酸イオンCO32- によって、沈殿が生じます。なお、ろ液中の炭酸イオンCO32- 濃度が大きくなりすぎると、マグネシウムイオンMg2+ まで炭酸塩として沈殿してくるので、この操作では、炭酸アンモニウム(NH4)2CO3水溶液を加えすぎないようにします。

 

Ca2+ + CO32-  CaCO3()

Sr2+ + CO32-  SrCO3()

Ba2+ + CO32-  BaCO3()

 

このようにして、最後までろ液中に残るのが、アンモニウムイオンNH4+・アルカリ金属イオン(Na+K+ など)・マグネシウムイオンMg2+ です。イオンの系統分離では、このようにマグネシウムイオンMg2+ が沈殿しないような条件で、操作3や操作5を行なうのが一般的です。アルカリ金属イオンは、炎色反応によって確認することができます。

 

(2) 沈殿物の再溶解方法

 イオンの系統分離では、沈殿を5つのグループに分けましたが、それだけでは、イオンの分離が十分でない場合が多いです。つまり、イオンの分離を完全に行うためには、沈殿物を再溶解させ、さらに沈殿を分析する必要があるのです。以下に、主な沈殿物の再溶解方法を示します。

 

(i) 塩化銀AgCl

 塩化銀AgClは光により、紫黒色に変色します。これは、光により自己酸化還元反応が進行し、銀(I)イオンAg+ が銀Agへと還元されるためです。このとき生じた銀Agの微粒子は、入射光を乱反射し、反射光がほとんどなくなるため、黒っぽく見えます。

 

2AgCl  2Ag + Cl2

 

また、塩化銀AgClに、アンモニアNH3, チオ硫酸イオンS2O32-, シアン化物イオンCN- を加えると、これらのイオンが配位子となり、沈殿が錯イオンとなって溶解します。

 

AgCl + 2NH3  [Ag(NH3)2]+(無色) + Cl-

AgCl + 2NaS2O3  Na3[Ag(S2O3)2]+(無色) + NaCl

AgCl + 2CN-  [Ag(CN)2]- (無色) + Cl-

 

(ii) 塩化鉛(II) PbCl2

 塩化鉛(II) PbCl2は、熱湯を注ぐか、あるいは沈殿を含む水溶液を加熱すると、沈殿が溶解します。さらに、これにクロム酸イオンCrO42- を加えると、黄色沈殿が生成します。これにより、鉛(II)イオンPb2+ を確認することができます。

 

Pb2+ + CrO42-  PbCrO4()

 

(iii) 硫化銅(II) CuS

 硫化銅CuSは、濃硝酸HNO3に溶けて、テトラアクア銅(II)イオン[Cu(H2O)4]2+ となります。さらに、これにアンモニアNH3を加えていくと、水酸化銅(II) Cu(OH)2の沈殿が生成し、過剰量加えると、テトラアンミン銅(II)イオン[Cu(NH3)4]2+ となって、沈殿が再溶解します。

 

[Cu(H2O)4]2+ + 2NH3  Cu(OH)2(青白) + 2H2O + 2NH4+

Cu(OH)2 + 4NH3  [Cu(NH3)4]2+(深青) + 2OH-

 

(iv) 水酸化鉄(III) Fe2O3nH2O

水酸化鉄(III) Fe2O3nH2Oは、酸を加えると中和されて溶解し、ヘキサアクア鉄(III)イオン[Fe(H2O)6]3+ となります。

 

Fe2O3nH2O + 6H+  2[Fe(H2O)6]3+(黄褐)  + (n3)H2O

 

(v) 水酸化アルミニウムAl(OH)3

水酸化アルミニウムAl(OH)3は、酸を加えると中和されて溶解し、ヘキサアクアアルミニウムイオン[Al(H2O)6]3+ となります。また、水酸化アルミニウムAl(OH)3は両性金属なので、水酸化ナトリウムNaOH水溶液にも溶解し、テトラヒドロキシドアルミン酸イオン[Al(OH)4]- となります。

 

Al(OH)3 + 3H+ + 3H2O  [Al(H2O)6]3+(無色)

Al(OH)3 + OH-  [Al(OH)4]-(無色)

 

(vi) 硫化亜鉛ZnS

硫化亜鉛ZnSは、希塩酸HClによって溶解し、テトラアクア亜鉛(II)イオン[Zn(H2O)4]2+ となります。また、亜鉛(II)イオンZn2+ は両性金属イオンなので、水酸化ナトリウムNaOH水溶液を少量加えると、水酸化亜鉛Zn(OH)2の沈殿が生成し、さらに過剰量加えると、テトラヒドロキシド亜鉛(II)酸イオン[Zn(OH)4]2- となり、再溶解します。

 

ZnS + 2H+ + 4H2O  [Zn(H2O)4]2+(無色) + H2S↑

[Zn(H2O)4]2+ + 2OH-  Zn(OH)2() + 4H2O

Zn(OH)2 + 2OH-  [Zn(OH)4]2-(無色)

 

(vii) 炭酸カルシウムCaCO3

炭酸カルシウムCaCO3は、希塩酸HClまたは炭酸水H2CO3により溶解します。また、カルシウムイオンCa2+ は、炎色反応で赤橙色を呈します。

 

CaCO3 + 2H+  Ca2+ + CO2 + H2O

CaCO3 + CO2 + H2O  Ca2+ + 2HCO3-

 

(3) 炎色反応

イオンを含む水溶液を、希塩酸HClで洗った白金線の先に少量付け、ガスバーナーの外炎にかざします。すると、炎に特有の色が付く元素があります。このように、炎の中で各元素特有の色を示す反応のことを、「炎色反応(flame reaction)」といいます。

炎色反応は、気体状の原子が、高温で加熱されることで観察できます。例えば、銅線を加熱するだけでは、銅Cuの沸点は2,562℃なので、原子が蒸発せず、銅Cuの炎色反応は観察されません。しかし、塩素Clとの化合物である塩化銅(II) CuCl2ならば、沸点が993℃と比較的低いので、イオン結晶が熱により解離し、原子化しやすくなります。炎色反応の実験の試料に塩化物が多用されるのは、こういった理由によります。また、炎色反応の実験では、「白金線」を使うことが一般的です。これは、白金Ptが非常に安定でイオン化しにくく、沸点も3,825℃と極めて高いため、他の金属イオンの観察の妨げにならないからです。

 

物体 が含まれている画像

高い精度で生成された説明

.2  炎色反応を観察する様子

 

原子は、原子核と電子から構成されます。そして、電子は、電子殻と呼ばれる限られた空間にしか存在していません。つまり、原子全体を見ると、原子には、電子がほとんど存在していない「無の空間」が存在しているのです。このように、電子は内側から電子殻ごとに、とびとびの場所にしか存在しておらず、このような状態を「量子化(quantization)」されているといいます。

原子に外部から熱などのエネルギーを与えると、最外殻にある電子が励起して、より高エネルギーの外側の電子殻に移動する現象が起こります。電子は、原子核とのクーロン力によって安定化しているので、当然、外側の電子殻の方が、不安定で高エネルギーな訳です。したがって、不安定で高エネルギーの励起状態の電子は、熱が下がると、再び元の安定な低エネルギーの電子殻に戻ってきます。この不安定な「励起状態(excited state)」と安定な「基底状態(ground state)」のエネルギー差が、光として放出されます。また、このときのエネルギー差ΔEと光の振動数には、次のような関係があります。

 

h (プランク定数) 6.6×10-34 Js

 

.3  励起状態と基底状態

 

このエネルギー差ΔEは、電子殻のエネルギーが量子化されているため、各元素によって決まった値を取ります。つまり、各元素によって、炎色反応で示す色が決まっており、またそれぞれで異なっているのです。可視光では、振動数が大きいと紫色よりに、振動数が小さいと赤色よりになります。したがって、エネルギー差ΔEが大きいほど、紫色よりになります(赤<橙<黄<緑<青<紫の順)。ちなみに、可視光の波長領域は、およそ380 nmから780 nmであり、この範囲でのみ炎色反応が観測できます。その範囲より短いものを「紫外線」、逆に長いものを「赤外線」と呼んでいます(色の科学を参照)

 

無題.png

空, 座っている, ライト, 物体 が含まれている画像

非常に高い精度で生成された説明

.4  代表的な元素の炎色反応

 

 夜空を彩る花火は、夏の風物詩です。花火の色は、実は様々な金属の炎色反応によるものなのです。例えば、赤色は硝酸ストロンチウムSr(NO3)2、緑色は硝酸バリウムBa(NO3)2、青色は水酸化炭酸銅(II) CuCO3Cu(OH)2、黄色はシュウ酸ナトリウムNa2C2O4によるものです。また、炎色反応は、身の回りでも実感しているはずです。ガスコンロにかけた味噌汁や鍋物が沸騰し、吹きこぼれた経験はありませんか?そのとき、ガスコンロの炎は、メラメラと黄色に燃え上がったのではないでしょうか。燃え上がったのは、吹きこぼれた汁の中に入っていた有機物が、高温でガス化して、燃え上がったことによる炎です。そして、黄色の炎は、その汁の中に入っていた塩化ナトリウムNaClを構成するナトリウムNaが燃えたことによる色です。

 

木, 屋外, 群衆 が含まれている画像

高い精度で生成された説明

.5  花火の色は、様々な金属の炎色反応によるものである

 

(4) イオンの性質のまとめ

(i) 陽イオンの性質

 

.2  主な陽イオンの性質

Ag+

@ Cl- で白色沈殿(AgCl)

A @の沈殿に光を当てると黒変(2AgCl2AgCl2)

B Br- で淡黄色沈殿(AgBr)

C I- で黄色沈殿(AgI)

D 液性を問わずS2- で黒色沈殿(Ag2S)

E CrO42- で赤褐色沈殿(Ag2CrO4)

F NH3と無色の錯イオンを作る([Ag(NH3)2]+)

G CN- と無色の錯イオンを作る([Ag(CN)2]-)

H S2O32- と無色の錯イオンを作る([Ag(S2O3)2]3-)

Cu2+

@ 水中で青色([Cu(H2O)4]2+)

A 炎色反応で青緑色

B 液性を問わずS2- で黒色沈殿(CuS)

C OH- で青白色沈殿(Cu(OH)2)

D NH3と深青色の錯イオンを作る([Cu(NH3)4]2+)

Pb2+

@ Cl- で白色沈殿(PbCl2)

A @の沈殿は熱湯に溶解する

B SO42- で白色沈殿(PbSO4)

C 液性を問わずS2- で黒色沈殿(PbS)

D CrO42- で黄色沈殿(PbCrO4)

E 過剰のOH- と無色の錯イオンを作る([Pb(OH)4]2-)

Fe3+

@ 水中で黄褐色([Fe(H2O)6]3+)

A OH- で赤褐色沈殿(Fe(OH)3)

B 中性〜塩基性ならS2- で黒色沈殿(FeS)

C K4[Fe(CN)6]aqで濃青色沈殿(KFeIIFeIII(CN)6)

D KSCNaqで血赤色の錯イオンを作る([Fe(SCN)(H2O)5]2+)

E CN- と赤色の錯イオンを作る([Fe(OH)6]3-)

Fe2+

@ 水中で淡緑色([Fe(H2O)6]2+)

A OH- で緑白色沈殿(Fe(OH)2)

B 中性〜塩基性ならS2- で黒色沈殿(FeS)

C K3[Fe(CN)6]aqで濃青色沈殿(KFeIIFeIII(CN)6)

D 空気中のO2に酸化されて、徐々にFe3+ に変化

E CN- と淡黄色の錯イオンを作る([Fe(OH)6]4-)

Zn2+

@ OH- で白色沈殿(Zn(OH)2↓)

A 中性〜塩基性ならS2- で白色沈殿(ZnS↓)

B NH3と無色の錯イオンを作る([Zn(NH3)4]2+)

C 過剰OH- と無色の錯イオンを作る([Zn(OH)4]2-)

D CN2- と無色の錯イオンを作る([Zn(CN)4]2-)

Al3+

@ OH- で白色沈殿(Al(OH)3↓)

A 過剰のOH- と無色の錯イオンを作る([Al(OH)4]-)

Ni2+

@ 水中で緑色([Ni(H2O)6]2+)

A 中性〜塩基性ならS2- で黒色沈殿(NiS↓)

B OH- で緑色沈殿(Ni(OH)2↓)

C NH3と淡紫色の錯イオンを作る([Ni(NH3)6]2+)

Ca2+

@ 炎色反応で橙赤色

A F- で白色沈殿(CaF2↓)

B CO32- で白色沈殿(CaCO3↓)

C SO42- で白色沈殿(CaSO4↓)

Ba2+

@ 炎色反応で黄緑色

A CO32- で白色沈殿(BaCO3↓)

B SO42- で白色沈殿(BaSO4↓)

C CrO42- で黄色沈殿(BaCrO4↓)

K+

@ 炎色反応で紫色

Na+

@ 炎色反応で黄色

Cd2+

@ 液性を問わずS2- で黄色沈殿(CdS)

A NH3と無色の錯イオンを作る([Cd(NH3)4]2+)

Mn2+

@ 水中で淡桃色([Mn(H2O)6]2+)

A 中性〜塩基性ならS2- で淡赤色沈殿(MnS↓)

NH4+

@ 沈殿を作らない

A 強塩基を加えるとNH3が発生する

B ネスラー試薬を加えると、褐色の沈殿が生じる(NHg2I↓)

 

(ii) 陰イオンの性質

 

.3  主な陰イオンの性質

F-

@ Ca2+ と白色沈殿(CaF2↓)

A HFは弱酸

B HFはガラスを溶かす(SiO26HFH2SiF62H2O)

Cl-

@ Ag+ と白色沈殿(AgCl↓)

A Pb2+と白色沈殿(PbCl2↓)

B HClは強酸

Br-

@ Ag+ と淡黄色沈殿(AgBr↓)

A Cl2などを反応させるとBr2が生じる(2Br-Cl2Br2Cl-)

B HBrは強酸

I-

@ I2と反応して褐色になる(I2I-I3-)

A Ag+と黄色沈殿(AgI↓)

B Cl2などを反応させるとI2が生じる(2I-Cl2I22Cl-)

C HIは強酸

SO42-

@ Ba2+, Ca2+, Sr2+, Pb2+ と白色沈殿(BaSO4↓, CaSO4↓, SrSO4↓, PbSO4↓)

A 濃硫酸は不揮発性・吸湿性・脱水作用を持つ

B 熱濃硫酸は酸化剤としてはたらく(H2SO42H+2e-SO22H2O)

CO32-

@ NH4+ とアルカリ金属イオン以外とはほとんど沈殿する(BaCO3↓, CaCO3など)

NO3-

@ 沈殿を作らない

A 濃硝酸は光により分解しやすい(4HNO34NO2O22H2O)

B 濃硝酸はキサントプロテイン反応でタンパク質を黄変

C 希硝酸は酸化剤としてはたらく(HNO33H+3e-NO2H2O)

D 濃硝酸は酸化剤としてはたらく(HNO3H+e- NO2H2O)

C2O42-

@ NH4+ とアルカリ金属イオン以外とはほとんど沈殿する(BaC2O4↓, CaC2O4など)

A 還元剤としてはたらく(C2O42-2CO22e-)

CrO42-

@ 水中で黄色

A Ag+ と赤褐色沈殿(Ag2CrO4↓)

B Ba2+, Pb2+ と黄色沈殿(BaCrO4↓, PbCrO4↓)

C 酸性で赤橙色になる(2CrO42-2H+Cr2O72-H2O)

Cr2O72-

@ 水中で赤橙色

A 酸性条件で酸化剤としてはたらく(Cr2O72-14H+6e- 2Cr3+7H2O)

B 塩基性で黄色になる(Cr2O72-2OH-2CrO42-H2O)

MnO4

@ 水中で赤紫色

A 酸性条件で酸化剤としてはたらく(MnO4-8H+5e-→Mn2+4H2O)

B 中性〜酸性条件で酸化剤としてはたらく(MnO4-2H2O3e-→MnO24OH-)

 


戻る

 

・参考文献

1) 石川正明「新理系の化学()」駿台文庫(2005年発行)