無機化学(イオンの系統分離)


(1)系統分離

何種類かの陽イオンが含まれている混合物から、各イオンを分離し、イオンを決定することを、「陽イオンの定性分析(cation analysis)」といいます。含まれているイオンが既知で、かつ23種類であるときは、たいてい何通りもの分析方法がありえます。しかし、含まれているイオンが未知であったり、既知ではあるが多種類であったりするときは、その分析方法も限られ、それを「系統分析(phyloanalysis)」といいます。複雑な問題では、イオンを分離する操作は、以下の手順で行うことが多いです。

 

a.png

.1  イオンの系統分離

 

[操作1]HClを加え、Ag+, Pb2+, Hg22+を沈殿させる。[覚え方:銀(Ag+)(Pb2+)ハゲ(Hg22+)

希塩酸HClを加えると、塩化物イオンCl- によって、沈殿が生じます。ただし、塩化鉛(II) PbCl2の沈殿は、ある程度溶解度が大きいため、一部の鉛(II)イオンPb2+ は、沈殿せずにそのままろ液に混ざることがあります。

 

Ag+ + Cl-  AgCl↓()

Pb2+ + 2Cl-  PbCl2()

Hg22+ + 2Cl-  Hg2Cl2()

 

[操作2]酸性状態のろ液にH2Sを吹き込み、イオン化傾向がSn2+より小さい金属陽イオンを沈殿させる。

硫化水素H2Sを吹き込むと、硫化物イオンS2- によって、沈殿が生じます。ただし、酸性状態では、金属硫化物の溶解度が大きくなってしまうので、酸性条件では、硫化亜鉛(II) ZnS・硫化鉄(II) FeS・硫化ニッケル(II) NiS・硫化マンガン(II) MnSは、ほとんど溶解してしまいます。よって、操作1で希塩酸HClを加えたあとに、硫化水素H2Sを吹き込むことで、イオン化傾向の小さい金属陽イオン((II)イオンCu2+・カドミウム(II)イオンCd2+・スズ(II)イオンSn2+)だけを、沈殿として分離することができるのです。また、操作1で完全に沈殿しなかった鉛(II)イオンPb2+ が、このとき硫化鉛(II) PbSとして沈殿してくることもあります。

 

Cu2+ + S2-  CuS↓()

Cd2+ + S2-  CdS↓()

Sn2+ + S2-  SnS↓()

 

[操作3]NH3NH4Clの混合溶液を加え、3価の金属陽イオンFe3+, Al3+, Cr3+を水酸化物として沈殿させる。

操作3の前に、ろ液を煮沸して、硝酸HNO3などの酸化剤を加えていますが、これにはきちんとした理由があります。まず、ろ液を煮沸する理由は、ろ液に硫化水素H2Sが溶け込んでいるからです。操作2では、ろ液を硫化水素H2Sの飽和溶液にするので、硫化水素H2Sがかなり溶け込んでいるのです。そこで、ろ液を煮沸することで、溶け込んでいる硫化水素H2Sを追い出すことができます。

また、煮沸したあとに酸化剤を加える理由は、硫化水素H2Sによって還元された鉄(II)イオンFe2+ を酸化して、鉄(III)イオンFe3+ に戻すためです。硫化水素H2Sは、鉄(II)イオンFe2+ より還元力が強いです。そのため、鉄(III)イオンFe3+ がろ液に含まれている場合、硫化水素H2Sによって鉄(III)イオンFe3+ の一部が、鉄(II)イオンFe2+ へと還元されているのです。そこで、硝酸HNO3などの酸化剤を加えてやることで、すべての鉄イオンを鉄(III)イオンFe3+ へと戻すことができます。また、このように鉄(II)イオンFe2+ をわざわざ酸化する理由は、鉄(II)イオンFe2+ より鉄(III)イオンFe3+ の方が、水酸化物イオンOH- と結合して沈殿しやすく、操作で回収しやすくなるからです。

 

無題.png

 

ろ液にNH3NH4Clの混合溶液を加えると、アンモニアNH3から生じる水酸化物イオンOH- によって、水酸化物の沈殿が生じます。ただし、この混合溶液は緩衝液なので、アンモニアNH3から生じる水酸化物イオンOH- は、塩化アンモニウムNH4Clの電離によって、かなり抑えられています。3価の金属陽イオン鉄(III)イオンFe3+・アルミニウムイオンAl3+・クロム(III)イオンCr3+ の水酸化物は、それだけ溶解度が小さく、沈殿しやすいのです。

 

無題.png

 

Fe3+ + 3OH-  Fe(OH)3(赤褐)

Al3+ + 3OH-  Al(OH)3()

Cr3+ + 3OH-  Cr(OH)3(灰緑)

 

.1  溶解度積Kspの値(25)

 

[Fe3+][OH-]3

[Al3+][OH-]3

[Cr3+][OH-]3

溶解度積Ksp

7.1×10-40

1.1×10-33

2.5×10-39

 

このとき、亜鉛(II)イオンZn2+・ニッケル(II)イオンNi2+・コバルト(II)イオンCo2+ は、アンモニアNH3の濃度が大きいので、アンミン錯イオンを作って、沈殿しません。また、緩衝液では、水酸化物イオンOH- の濃度が小さくなっているので、マグネシウムイオンMg2+ やマンガン(II)イオンMn2+ は、水酸化物として沈殿しないようになっています。通常はこのように、マグネシウムイオンMg2+ やマンガン(II)イオンMn2+ が沈殿しないpH78程度で操作することが多いです。なお、ろ液にマグネシウムイオンMg2+ やマンガン(II)イオンMn2+ がなければ、アンモニアNH3を十分に加えるだけで問題ありません。

 

[操作4]塩基性状態のろ液にH2Sを吹き込み、イオン化傾向がZn2+より小さい金属陽イオンを沈殿させる。

硫化水素H2Sを吹き込むと、硫化物イオンS2- によって、沈殿が生じます。なお、塩基性では、硫化物イオンS2- の濃度が大きくなっているので、沈殿が生じやすくなっています。また、硫化水素H2SはアンモニアNH3と中和して、硫化物イオンS2- を生じさせます。そのため、イオン化列で亜鉛(II)イオンZn2+ より小さい金属イオンが、たとえアンミン錯イオンを作っていたとしても、錯イオンを破壊して、硫化物として沈殿します。

 

無題.png

 

Ni2+ + S2-  NiS↓()

Zn2+ + S2-  ZnS↓()

Mn2+ + S2-  MnS↓(淡紅)

Co2+ + S2-  CoS↓()

 

[操作5]ろ液に(NH4)2CO3水溶液を加え、アルカリ土類金属イオンを沈殿させる。

炭酸アンモニウム(NH4)2CO3水溶液を加えると、炭酸イオンCO32- によって、沈殿が生じます。なお、ろ液中の炭酸イオンCO32- 濃度が大きくなりすぎると、マグネシウムイオンMg2+ まで炭酸塩として沈殿してくるので、この操作では、炭酸アンモニウム(NH4)2CO3水溶液を加えすぎないようにします。

 

Ca2+ + CO32-  CaCO3()

Sr2+ + CO32-  SrCO3()

Ba2+ + CO32-  BaCO3()

 

このようにして、最後までろ液中に残るのが、アンモニウムイオンNH4+・アルカリ金属イオン(Na+K+ など)・マグネシウムイオンMg2+ です。イオンの系統分離では、このようにマグネシウムイオンMg2+ が沈殿しないような条件で、操作3や操作5を行なうのが一般的です。アルカリ金属イオンは、炎色反応によって確認することができます。

 

(2)沈殿物の再溶解方法

 イオンの系統分離では、沈殿を5つのグループに分けましたが、それだけでは、イオンの分離が十分でない場合が多いです。つまり、イオンの分離を完全に行うためには、沈殿物を再溶解させ、さらに沈殿を分析する必要があるのです。以下に、主な沈殿物の再溶解方法を示します。

 

(i)塩化銀AgCl

 塩化銀AgClは光により、紫黒色に変色します。これは、光により自己酸化還元反応が進行し、銀(I)イオンAg+ が銀Agへと還元されるためです。このとき生じた銀Agの微粒子は、入射光を乱反射し、反射光がほとんどなくなるため、黒っぽく見えます。

 

2AgCl  2Ag + Cl2

 

また、塩化銀AgClに、アンモニアNH3, チオ硫酸イオンS2O32-, シアン化物イオンCN- を加えると、これらのイオンが配位子となり、沈殿が錯イオンとなって溶解します。

 

AgCl + 2NH3  [Ag(NH3)2]+(無色) + Cl-

AgCl + 2NaS2O3  Na3[Ag(S2O3)2]+(無色) + NaCl

AgCl + 2CN-  [Ag(CN)2]- (無色) + Cl-

 

 (ii)塩化鉛(II) PbCl2

 塩化鉛(II) PbCl2は、熱湯を注ぐか、あるいは沈殿を含む水溶液を加熱すると、沈殿が溶解します。さらに、これにクロム酸イオンCrO42- を加えると、黄色沈殿が生成します。これにより、鉛(II)イオンPb2+ を確認することができます。

 

Pb2+ + CrO42-  PbCrO4()

 

(iii)硫化銅(II) CuS

 硫化銅CuSは、濃硝酸HNO3に溶けて、テトラアクア銅(II)イオン[Cu(H2O)4]2+ となります。さらに、これにアンモニアNH3を加えていくと、水酸化銅(II) Cu(OH)2の沈殿が生成し、過剰量加えると、テトラアンミン銅(II)イオン[Cu(NH3)4]2+ となって、沈殿が再溶解します。

 

[Cu(H2O)4]2+ + 2NH3  Cu(OH)2(青白) + 2H2O + 2NH4+

Cu(OH)2 + 4NH3  [Cu(NH3)4]2+(深青) + 2OH-

 

(iv)水酸化鉄(III) Fe(OH)3

水酸化鉄(III) Fe(OH)3は、酸を加えると中和されて溶解し、ヘキサアクア鉄(III)イオン[Fe(H2O)6]3+ となります。

 

Fe(OH)3 + 3H+ + 3H2O  [Fe(H2O)6]3+(黄褐)

 

(v)水酸化アルミニウムAl(OH)3

水酸化アルミニウムAl(OH)3は、酸を加えると中和されて溶解し、ヘキサアクアアルミニウムイオン[Al(H2O)6]3+ となります。また、水酸化アルミニウムAl(OH)3は両性金属なので、水酸化ナトリウムNaOH水溶液にも溶解し、テトラヒドロキシドアルミン酸イオン[Al(OH)4]- となります。

 

Al(OH)3 + 3H+ + 3H2O  [Al(H2O)6]3+(無色)

Al(OH)3 + OH-  [Al(OH)4]-(無色)

 

(vi)硫化亜鉛ZnS

硫化亜鉛ZnSは、希塩酸HClによって溶解し、テトラアクア亜鉛(II)イオン[Zn(H2O)4]2+ となります。また、亜鉛(II)イオンZn2+ は両性金属イオンなので、水酸化ナトリウムNaOH水溶液を少量加えると、水酸化亜鉛Zn(OH)2の沈殿が生成し、さらに過剰量加えると、テトラヒドロキシド亜鉛(II)酸イオン[Zn(OH)4]2- となり、再溶解します。

 

ZnS + 2H+ + 4H2O  [Zn(H2O)4]2+(無色) + H2S↑

[Zn(H2O)4]2+ + 2OH-  Zn(OH)2() + 4H2O

Zn(OH)2 + 2OH-  [Zn(OH)4]2-(無色)

 

(vii)炭酸カルシウムCaCO3

炭酸カルシウムCaCO3は、希塩酸HClまたは炭酸水H2CO3により溶解します。また、カルシウムイオンCa2+ は、炎色反応で赤橙色を呈します。

 

CaCO3 + 2H+  Ca2+ + CO2 + H2O

CaCO3 + CO2 + H2O  Ca2+ + 2HCO3-

 

(3)炎色反応

イオンを含む水溶液を、希塩酸HClで洗った白金線の先に少量付け、ガスバーナーの外炎にかざします。すると、炎に特有の色が付く元素があります。このように、炎の中で各元素特有の色を示す反応のことを、「炎色反応(flame reaction)」といいます。炎色反応は、気体状の原子が、高温で加熱されることで観察できます。例えば、銅線を加熱するだけでは、銅Cuの沸点は2,562℃なので、原子が蒸発せず、銅Cuの炎色反応は観察されません。しかし、塩素Clとの化合物である塩化銅(II) CuCl2ならば、沸点が993℃と比較的低いので、イオン結晶が熱により解離し、原子化しやすくなります。炎色反応の実験の試料に塩化物が多用されるのは、こういった理由によります。また、炎色反応の実験では、「白金線」を使うことが一般的です。これは、白金Ptが非常に安定でイオン化しにくく、沸点も3,825℃と極めて高いため、他の金属イオンの観察の妨げにならないからです。

 

物体 が含まれている画像

高い精度で生成された説明

.2  「炎色反応」を観察する様子

 

原子は、原子核と電子から構成されます。そして、電子は、電子殻と呼ばれる限られた空間にしか存在していません。つまり、原子全体を見ると、原子には、電子が存在していない「無の空間」が存在しているのです。このように、電子は内側から電子殻ごとに、とびとびの場所にしか存在しておらず、このような状態を「量子化(quantization)」されているといいます。

原子に外部から熱などのエネルギーを与えると、内側にある安定な電子が励起して、外側の電子殻に移動する現象が起こります。電子は、原子核とのクーロン力によって安定化しているので、当然、外側の電子殻の方が不安定な訳です。したがって、不安定な励起状態の電子は、熱が下がると、再び安定な内側の電子殻に戻ってきます。この不安定な「励起状態(excited state)」と安定な「基底状態(ground state)」のエネルギー差が、光として放出されます。また、このときのエネルギー差ΔEと光の振動数には、次のような関係があります。

 

h (プランク定数) 6.6×10-34 Js

 

このエネルギー差ΔEは、電子殻のエネルギーが量子化されているため、各元素によって決まった値を取ります。つまり、各元素によって、炎色反応で示す色が決まっており、またそれぞれで異なっているのです。可視光では、振動数が大きいと紫色よりに、振動数が小さいと赤色よりになります。したがって、エネルギー差ΔEが大きいほど、紫色よりになります(赤<橙<黄<緑<青<紫の順)。ちなみに、可視光の波長は、およそ380 nmから780 nmであり、その範囲より短いものを「紫外線」、逆に長いものを「赤外線」と呼んでいます(色の科学を参照)

 

無題.png

空, 座っている, ライト, 物体 が含まれている画像

非常に高い精度で生成された説明

.3  代表的な元素の炎色反応

 

 夜空を彩る花火は、夏の風物詩です。花火の色は、実は様々な金属の炎色反応によるものなのです。例えば、赤色は硝酸ストロンチウムSr(NO3)2、緑色は硝酸バリウムBa(NO3)2、青色は水酸化炭酸銅(II) CuCO3Cu(OH)2、黄色はシュウ酸ナトリウムNa2C2O4によるものです。また、炎色反応は、身の回りでも実感しているはずです。ガスコンロにかけた味噌汁や鍋物が沸騰し、吹きこぼれた経験はありませんか?そのとき、ガスコンロの炎は、メラメラと黄色に燃え上がったのではないでしょうか。燃え上がったのは、吹きこぼれた汁の中に入っていた有機物が、高温でガス化して、燃え上がったことによる炎です。そして、黄色の炎は、その汁の中に入っていた塩化ナトリウムNaClを構成するナトリウムNaが燃えたことによる色です。

 

木, 屋外, 群衆 が含まれている画像

高い精度で生成された説明

.4  花火の色は、様々な金属の炎色反応によるものである

 

(4)イオンの性質のまとめ

(i)陽イオンの性質

 

.2  主な陽イオンの性質

Ag+

@ Cl- で白色沈殿(AgCl)

A @の沈殿に光を当てると黒変(2AgCl2AgCl2)

B Br- で淡黄色沈殿(AgBr)

C I- で黄色沈殿(AgI)

D 液性を問わずS2- で黒色沈殿(Ag2S)

E CrO42- で赤褐色沈殿(Ag2CrO4)

F NH3と無色の錯イオンを作る([Ag(NH3)2]+)

G CN- と無色の錯イオンを作る([Ag(CN)2]-)

H S2O32- と無色の錯イオンを作る([Ag(S2O3)2]3-)

Cu2+

@ 水中で青色([Cu(H2O)4]2+)

A 炎色反応で青緑色

B 液性を問わずS2- で黒色沈殿(CuS)

C OH- で青白色沈殿(Cu(OH)2)

D NH3と深青色の錯イオンを作る([Cu(NH3)4]2+)

Pb2+

@ Cl- で白色沈殿(PbCl2)

A @の沈殿は熱湯に溶解する

B SO42- で白色沈殿(PbSO4)

C 液性を問わずS2- で黒色沈殿(PbS)

D CrO42- で黄色沈殿(PbCrO4)

E 過剰のOH- と無色の錯イオンを作る([Pb(OH)4]2-)

Fe3+

@ 水中で黄褐色([Fe(H2O)6]3+)

A OH- で赤褐色沈殿(Fe(OH)3)

B 中性〜塩基性ならS2- で黒色沈殿(FeS)

C K4[Fe(CN)6]aqで濃青色沈殿(KFeIIFeIII(CN)6)

D KSCNaqで血赤色の錯イオンを作る([Fe(SCN)(H2O)5]2+)

E CN- と赤色の錯イオンを作る([Fe(OH)6]3-)

Fe2+

@ 水中で淡緑色([Fe(H2O)6]2+)

A OH- で緑白色沈殿(Fe(OH)2)

B 中性〜塩基性ならS2- で黒色沈殿(FeS)

C K3[Fe(CN)6]aqで濃青色沈殿(KFeIIFeIII(CN)6)

D 空気中のO2に酸化されて、徐々にFe3+ に変化

E CN- と淡黄色の錯イオンを作る([Fe(OH)6]4-)

Zn2+

@ OH- で白色沈殿(Zn(OH)2↓)

A 中性〜塩基性ならS2- で白色沈殿(ZnS↓)

B NH3と無色の錯イオンを作る([Zn(NH3)4]2+)

C 過剰OH- と無色の錯イオンを作る([Zn(OH)4]2-)

D CN2- と無色の錯イオンを作る([Zn(CN)4]2-)

Al3+

@ OH- で白色沈殿(Al(OH)3↓)

A 過剰のOH- と無色の錯イオンを作る([Al(OH)4]-)

Ni2+

@ 水中で緑色([Ni(H2O)6]2+)

A 中性〜塩基性ならS2- で黒色沈殿(NiS↓)

B OH- で緑色沈殿(Ni(OH)2↓)

C NH3と淡紫色の錯イオンを作る([Ni(NH3)6]2+)

Ca2+

@ 炎色反応で橙赤色

A F- で白色沈殿(CaF2↓)

B CO32- で白色沈殿(CaCO3↓)

C SO42- で白色沈殿(CaSO4↓)

Ba2+

@ 炎色反応で黄緑色

A CO32- で白色沈殿(BaCO3↓)

B SO42- で白色沈殿(BaSO4↓)

C CrO42- で黄色沈殿(BaCrO4↓)

K+

@ 炎色反応で紫色

Na+

@ 炎色反応で黄色

Cd2+

@ 液性を問わずS2- で黄色沈殿(CdS)

A NH3と無色の錯イオンを作る([Cd(NH3)4]2+)

Mn2+

@ 水中で淡桃色([Mn(H2O)6]2+)

A 中性〜塩基性ならS2- で淡赤色沈殿(MnS↓)

NH4+

@ 沈殿を作らない

A 強塩基を加えるとNH3が発生する

B ネスラー試薬を加えると、褐色の沈殿が生じる(NHg2I↓)

 

(ii)陰イオンの性質

 

.3  主な陰イオンの性質

F-

@ Ca2+ と白色沈殿(CaF2↓)

A HFは弱酸

B HFはガラスを溶かす(SiO26HFH2SiF62H2O)

Cl-

@ Ag+ と白色沈殿(AgCl↓)

A Pb2+と白色沈殿(PbCl2↓)

B HClは強酸

Br-

@ Ag+ と淡黄色沈殿(AgBr↓)

A Cl2などを反応させるとBr2が生じる(2Br-Cl2Br2Cl-)

B HBrは強酸

I-

@ I2と反応して褐色になる(I2I-I3-)

A Ag+と黄色沈殿(AgI↓)

B Cl2などを反応させるとI2が生じる(2I-Cl2I22Cl-)

C HIは強酸

SO42-

@ Ba2+, Ca2+, Sr2+, Pb2+ と白色沈殿(BaSO4↓, CaSO4↓, SrSO4↓, PbSO4↓)

A 濃硫酸は不揮発性・吸湿性・脱水作用を持つ

B 熱濃硫酸は酸化剤としてはたらく(H2SO42H+2e-SO22H2O)

CO32-

@ NH4+ とアルカリ金属イオン以外とはほとんど沈殿する(BaCO3↓, CaCO3など)

NO3-

@ 沈殿を作らない

A 濃硝酸は光により分解しやすい(4HNO34NO2O22H2O)

B 濃硝酸はキサントプロテイン反応でタンパク質を黄変

C 希硝酸は酸化剤としてはたらく(HNO33H+3e-NO2H2O)

D 濃硝酸は酸化剤としてはたらく(HNO3H+e- NO2H2O)

C2O42-

@ NH4+ とアルカリ金属イオン以外とはほとんど沈殿する(BaC2O4↓, CaC2O4など)

A 還元剤としてはたらく(C2O42-2CO22e-)

CrO42-

@ 水中で黄色

A Ag+ と赤褐色沈殿(Ag2CrO4↓)

B Ba2+, Pb2+ と黄色沈殿(BaCrO4↓, PbCrO4↓)

C 酸性で赤橙色になる(2CrO42-2H+Cr2O72-H2O)

Cr2O72-

@ 水中で赤橙色

A 酸性条件で酸化剤としてはたらく(Cr2O72-14H+6e- 2Cr3+7H2O)

B 塩基性で黄色になる(Cr2O72-2OH-2CrO42-H2O)

MnO4

@ 水中で赤紫色

A 酸性条件で酸化剤としてはたらく(MnO4-8H+5e-→Mn2+4H2O)

B 中性〜酸性条件で酸化剤としてはたらく(MnO4-2H2O3e-→MnO24OH-)

 


戻る

 

・参考文献

1) 石川正明「新理系の化学()」駿台文庫(2005年発行)